マーケティング爺のひとりごと

外資系7社でチューインガムから抗癌剤までのマーケティングを生業としていた引退老人です。使えそうなデータや分析、気になった出来事、思い出、日々思うことなどをボケ防止のため綴っています。にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ
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カテゴリ: 調査

菓子の仕事を15年間していたので引退した今でも菓子業界が気になる。2022年の菓子統計が発表されたので久しぶりに数字を追いかけてみた。

昨年の我が国の菓子類小売り金額は3兆4361億円で対前年比は+4.2%と前年に続き2年伸長し、コロナで落ち込んだ分を取り戻しつつある。2022年は小麦粉や油の値上がり、エネルギー価格の上昇、輸送費の高騰があり菓子メーカーが値上げをしたことも小売り金額上昇の一因でもあるが。
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最大のカテゴリーはチョコレートで5750億円。その後をスナック菓子、和生菓子、洋生菓子、ビスケット、米菓が続く。ちょっと待った。私が菓子の仕事に従事していたころ、四半世紀も前だけど、トップは和生菓子で次が洋生菓子、チョコレートはいつも3番目だった。チョコレートが大きく伸びたこともあるが、和生菓子と洋生菓子が縮んだと言った方が正解だろう。1995年と比べると洋生菓子が25%、和生菓子が18%下降している。需要不足と生産現場の人材人員不足が原因と思われる。同期間でチョコレートは36%成長している。直近10年の伸長率はこんな感じになる。
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チョコレート、スナック菓子、ビスケットはコンスタントに伸び続け、チューインガムは下降し続けている。チューインガムは95年比でマイナス60%と悲惨な状態だ。ガムメーカーはグミやミント菓子に市場を奪われたと言い訳がましく言っている。確かにグミは伸びているが、グミやミント菓子を含む飴菓子自体はこの10年ほぼ横ばいなので、ガムだけでなくキャンディもグミの影響を受けていると考えるべきだろう。

キャンディ専業メーカーであるカンロはこのまま若年層のあめ離れが進むと市場全体が縮小すると危惧して、Z世代に向けて「飴の原体験共創プロジェクト」を高校生と共に開始した。ガムメーカーも「歯周病予防にチューインガムは有効」というキャンペーンを歯科医院などで行っているが効果のほどはまだ分からない。

菓子市場トータルで見るとこの30年間大きな変化はなく3兆円強の市場である。しかし好調な分野とそうでない分野が存在する。新規の素材・原材料や製法などもあまりない市場なのでメーカーの機能性商品を中心とした新製品開発がカテゴリーの浮沈を分けているのは、新製品の多いチョコレートやスナック菓子の好調さを見ればわかる。インバウンド需要がしばらくは期待できないのであれば、ECなどのさらなる販路開拓や高齢者向けの機能性商品や健康商品の開発などメーカーができることはまだありそうな気がする、と最近は固いせんべいを敬遠しがちなジジイは思うのですが。



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先日地域のゴルフコンペがあり表彰式の時に次回から連絡はLINEにしようと幹事から提案があった。約30人のグループでLINEをしていないのはたった一人だけだった。彼は周りの助けを得ながらその場でLINE登録をした。平均年齢が60代半ばの集団でもこの浸透度だからLINE恐るべし。

そういう私も友人や離れた家族とはLINEで連絡するし、学生時代の同窓生との連絡や打ち合わせはLINEとZOOM会議がほとんどでメールの使用はめっきり減ってしまった。モビルス(株)が最近発表した調査によると20歳以上の男女の77%が普段LINEを使っていて断トツのNo.1のSNSである。ちなみに2位のYouTubeが67%、3位のTwitterが50%、4位のInstagramが43%だ。驚くべきは60代の85%、70代の75%がLINEを使っていることだ。
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20~50代でもLINEの使用率は高いので高齢者だけに強いFacebookのようにはならないとは思うが、それでも60代の85%は驚きだ。高齢者は携帯電話と固定電話の使用率も断トツに高い。シニア層では通話定額サービスなどを利用しての予約や問い合わせに音声による連絡手段がいまだ主流であるのに対し、若年層ではLINE電話など非通信業者の利用率が高いのと、20代、30代では固定だけでなく携帯での音声通話を利用しない人が30%も存在する。確かに街で若い人が電話しているのをあまり見ない。たいていは黙々とLINEでメッセージを打っている。非音声コミュニケーションが中心になっているのだろうか。

LINEがメールにとって代わり、若い人の間では電話の代わりになった(かつ無料だ)。LINEは日本独自のSNSだが友人やグループ間でのコミュニケーション以外にどういう使われ方をしているのだろうか。考えられるのは情報収集やクーポン・割引情報のための利用だ。ユーザーの85%はいくつかの企業や組織の公式アカウントに登録している。平均で10くらいだろうか。
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登録が多いのはショッピング(64%)、メーカー(48%)、飲食店(41%)などだが、シニア層では行政・自治体や医療機関も上位に来ている。数えてみたら私も18の公式アカウントに登録していた。最近は多くのセールスキャンペーンがLINE上で実施されているし、LINE経由でしか配布されない情報や購入できない特売商品が増えているような気がする。
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同調査によると、LINEの公式アカウントに最も求められているのはクーポンや割引情報だ。二番目がサービスの最新情報。高齢者間では不明点の問い合わせの需要も多い。今のLINEは折り込みチラシやコールセンターの役割を担っているようにも見える。この点がLINEが浸透した理由かもしれない。私のような後期高齢者でもドラッグストアに行く前にクーポンを確認し、店頭でスマホの画面を提示して1割前後の割引で買うのは日常になってしまった。LINE恐るべし。


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以前にも書いたことがあるのだが、ここにきてフェイスブックの凋落ぶりが酷い。実使用者数を表すアクティブユーザーは2015年をピークに下がっているし、ユニークユーザー(重複を除いたユーザー数)も下がり続けている。昨年2022年のUUランキングでは辛うじてアプリのベスト10に入っているが、前年比でマイナスなのはフェイスブックだけである。三年連続でマイナスということはいまだに縮み続けているということだ。年齢別にみると60代では二年連続で二けた成長だが、20代では三年続けて15%減少だ。
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フェイスブックはSNSの中でも老人率が最も高いと言われているが、マクロミルが毎年新成人に対して行っている調査でもその弱体化は目を覆いたくなるほどである。10年前はLINEやTwitterと並んでいたのが既にインスタや新興のTikTokにも抜かれてしまった。新成人の使用率は1割を切っている。もうフェイスブックは中高年と老人のためのSNSと呼んでもいいくらいだ。その老人も最近はインスタ慣れが始まり、長文を書かなくても写真でコミュニケーションがとれるインスタが重宝されている。この頃のスマホのカメラ機能はすごく進歩しているしね。このままではフェイスブックはMIXIのようになることだってありうるかもしれない。
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それにしてもLINEの伸長はすごい。日本特有なのだろうが最近はグループ仲間の連絡はほとんどLINEで行われている。私もゴルフ仲間や学生時代の知人とはLINEでコミュニケーションをとる。遠くに住んでいる家族や親戚、友人との連絡もLINEだ。無料で電話もできるし。

フェイスブックと同じMetaグループのインスタも便利ではあるが、高齢者の一人としてはフェイスブックにもうちょっと頑張ってもらいたい。十数年使っていて使い慣れているし、いくつかのグループの管理人もしている。生存確認にも使えるし、訃報を告知・シェアするのにも重宝だ。ここ何年かで知人の逝去の報に接したが、その内の4人はフェイスブック経由だった。(いまだにその4人が友達リストに残っているのを見るのは辛いけど)

SNSの浸透ぶりはすごいなと思っていたらマクロミルの萩原さんが日経の郵送調査をまとめてくれていた。最近の調査はネット調査がほとんどなのでSNSへの関心度や利用度が高く出るのは当然でバイアスありと考えた方がよい(当然郵送調査にもバイアスはあるが)。日経の読者層は年齢が高そうなので単純には比較できないかもしれないが、LINEの利用率が66%でインスタが37%は妥当な数字のように見える。フェイスブックは31%だが「利用したことがある」が25%と他のSNSと比べて高く、ライトユーザーや過去ユーザーが多いように思われる。327058315_727663208723214_6500917639380833664_n
一般的にライトユーザーや過去ユーザーが多い製品やサービスはブランド力が弱い、または峠を過ぎたと考えられる。数字だけを見ているとフェイスブックはそれに当てはまるような気がする。コロナ禍で自宅にとどまる時間が増えたシニア層がアプリ利用に目覚めて老人の利用は増えているが、若者の参入ができていないので長期的には衰退だろう。少子化対策同様の「異次元の若年層取り込み対策」でもしない限り衰退の一途をたどりそうだ。



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今日は成人の日。以前は1月15日だったが2000年からハッピーマンデー制度導入によって1月の第2月曜日に変更された。このハッピーマンデー制度で祝祭日数で世界一(諸説あり)の我が国は休日数でもトップレベルにになったことと、その10年位前から実施された「ゆとり教育」が日本を駄目にした原因の一つだと思うのだがここでは触れない。昨年から18歳を成人と定義しているのに「成人式」に参加できるのは20歳という自治体がほとんどで、「成人式」ではなく「二十歳を祝う会」とか「二十歳のつどい」と苦し紛れに呼んでいる。私の住む横浜市では「二十歳の市民を祝うつどい」となっている。
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はるか昔二十歳になった私は区の成人式に出た。二浪中で出たくもなかったが人生一回のものだからと出席した。中学高校と区外校だったので知っている顔はなかった。周りがスーツや振袖のなか長髪でジーパンとジャンパーだったので浮いていた。居心地は悪かったが予想範囲内だった。今年新成人になる500人へのマクロミルの調査では「参加する」と答えたのは三分の二しかいない。仕事や学業で故郷に帰れない人や、荒れる成人式の様子を毎年のようにテレビで見て行きたくないと思う人もいるだろう。昔のデータがないので比較できないが18%が「参加しない」というのは高いような気がする。

この調査データを見ていて興味深く思った点がいくつかあった。新成人が関心を持っているのは、現政権の重点課題である少子化対策、経済金融政策、働き方改革・女性活躍推進の順で高齢者である私と変わりがなく、景気・雇用対策や外交・安全保障対策、憲法改正が前年より大幅に伸びているなど足元の課題をきちんと押さえているのに感心した。しかし政治への期待度は18.4%で前年より5.6%減少した。前年から下がってはいるが前政権時とほぼ同じレベルではある。
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彼らがどこから情報を得ているかを見てみると、テレビが70.2%と圧倒的1位で「信頼している」も55%で2位のニュースサイト・アプリの倍である。若者のテレビ離れが報じられるようになって久しいが、視聴時間は短くなってもテレビは相変わらず主たる情報源なのだ。3位以下は動画共有サービス、SNSと続くが総じて信頼度は低い。かつて4大メディアと呼ばれた新聞、雑誌、ラジオは若者に対しての浸透度と信頼度は極めて限定的だと言わざるを得ない。
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最後に利用しているSNSを。情報源としてはトップ3に入っていないが、浸透度はすごい。LINE、インスタグラム、Twitterがベスト3でLINEの利用率は96%と高率で、インスタが85%でTwitterを抜いて2位に上がった。話題のTikTokが急上昇を見せる一方で10年前にはLINE、Twitterと並んでいたフェイスブックは見る影もない。すっかり老人のメディアになってしまったようだ。
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調査の一部しか紹介できなかったが「今どきの新成人は」と言う前に彼らが何を考えているのかが少しはわかったような気がする(気がするだけだけど)。意外としっかりしてるじゃないか。日本の将来は思ったほど暗くはないかもしれない。任せたよ! で、老兵は消え去るのみかも。Old soldiers never die. They just fade away.



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英国のファイナンスサービス社の調査によると、幸福度は40代を底にして70歳近辺でピークを迎えるとのことです。歳はとるものの新しい趣味を見つけたり旅行に出かけたりと楽しみを見つけること、引退して仕事がらみの不満やストレスが減少することがその理由だそうです。
アメリカのダートマス大学の145か国の調査でも47~48歳を底にしてU字カーブを描き、82歳以上で最高値に達するとのことです。40代の幸福度が低いのは、アメリカでは失業や離婚・別居などが起こる可能性が高いからだと思われます。
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10年以上前の米国科学アカデミー紀要掲載の電話によるサンプル数30万以上の調査でも、同様に50代前半を底にするU字型を示しています。ロシアやドイツでの調査も同様にU字型をしているとのことです。米英の調査では18-21歳の若い層と60代半ば以上の層が幸福だと答える割合が高く、若年層はより良い将来を予想して今後の人生への期待値が高く、60代以上では肯定的な評価が齢とともに上昇していきます。この上昇は加齢により知恵が増すこと、高齢者は否定的な記憶より肯定的な記憶を思い出しやすいことなどが要因だろうと言われています。幸福度がU字型であるということは、今はちょっと辛いけれど将来の人生は期待できるという先行き楽観主義にもつながります。

翻って日本のデータを見てみると、少し古いが2008年の内閣府の国民生活選好度調査で、「U字型は米国では見られるが日本では見られない、日本では67歳を底にして79歳にかけて幸福度は殆ど高まらない横ばいのL字型である」と指摘しています。また大阪大学の調査「なぜあなたは不幸なのか」(n=4,206)によると、30代が最も幸福で、20代がそれに次ぐとのことです。40代以降は加齢とともに幸福度が下がり、60代が最も不幸であるとしています。歳をとるたびに幸福感が希薄になるなんて英米とまったく逆ではありませんか。
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50歳前後は親の介護、子育て、仕事の負担が増えるなど幸福度を下げる要素は確かにあります。しかし長寿国日本の老人を待っているのは本当に長くて暗い老後なのでしょうか。それでは堪らないと探し出したのがハーバード大学の幸福研究でした。今まで参考にした調査は幸せかどうかを質問し、その結果を年代グループ別にまとめたものでした。一方ハーバード大学の研究はコーホート分析と呼ばれる手法で、同じ対象者(10代の男性724人、ハーバード卒とボストン育ちの裕福ではない人たちの2グループ)を75年続けて調査し、家庭生活や健康などを継続して調べたものです。

結論としては健康的かつ幸せな人生を歩むために最も重要な要因は、金銭的な裕福さでも名声でもがむしゃらに働くことでもなく、良い人間関係を築けているかでした。たった一人でもいいから心から信頼できる人がいるかどうかが重要だそうです。家柄でも学歴でも職業でもなく、人間関係それも身近な人たちとの関係の質だというのは救われますね。

幸福という言葉の意味は時を経るにつれ変化する可能性があるので、年齢とともに幸福度が下がるとか、若者は高齢者より幸福であるとは簡単には言えそうもありませんが、幸福度に影響を与えるであろう三要素(3K)、健康、家計、家族を大切にして残された人生を楽しもうと思います(後期高齢者になってしまったので残された時間はそんなにはないけど)。



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最近いろいろなものが値上がりしているので今年1~6月の家計簿をまとめて前年と比べてみた。

我が家の2022年上半期の総支出は+6.5%。今の情勢だとこんなものかと思ったが、年金が0.2%減り日米の株価が暴落したので投信の分配金が激減し収入が前年の75%ほどになっている老人世帯にとってはけっこうダメージが大きい。そんなに贅沢をしているとは思わないのだが。

個別に見ていくと犯人が分かる。まず光熱費だ。電気が+36.6%、ガスが+22.6%、水道が+16.1%。光熱費合計で対前年+25.5%と増えている。老夫婦世帯で使用量は大きな変化がないので燃料費調整などが原油やLNG価格の上昇で上がり、単位当たりの価格が上がっているせいだ。そのうえ横浜市は昨年夏に水道料金を12%値上げした。光熱費が+6.5%増額分の三分の一を占める。
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つぎが食費だ。対前年比+13.2%とこれも結構大きい。パン、米穀、麺類は前年比で二桁マイナスだが、乳製品が+33.5%、肉類が+30.4%と増え、総菜類が+19.7%、冷凍食品が+18.6%と続いている。コロナで外出が減り、家庭内でプチ贅沢とまでは行かないがお取り寄せが増えたのと、こんな時期こそ老人だって体力をつけるため肉やチーズを食わねばと思ったところに円安による輸入牛肉などの値上がりが重なったことが響いている。加えて家庭内滞在時間が増えたのと最近の暑さで飲料消費が+42.2%と激増し食費と合わせて+17.4%でこれも増額分の三分の一の貢献度。
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残りの三分の一はゴルフ関連の出費増だ。家に閉じこもっている時間が増えると気持ちが沈み気味になり、ネットを見ているとついポチっと押してしまう。今年上半期は運動不足解消のためネットで見つけた女子プロとのコンペに二度参加し、先月は直進性が高いと評判のステルスドライバーを買ってしまった。今月後期高齢者となり健康寿命はあと数年だろうし、車の運転もゴルフもそのうち諦めねばならないからと自分を正当化させての出費だった。

消費者物価指数は4月5月と続けて2%を上回っているし、5月の企業物価指数は9%を超えた。原油価格は下がる気配を見せていないしロシアの出方によってはバレル150ドルを超えるかもしれない。円だってアメリカの更なる利上げで150円まで行くという論者もいる。輸送価格が上がればすべての物価に影響するし、円安と穀物価格の上昇で今月は食品だけでも約2000商品の値上げが予定されている。食料自給率37%、エネルギー自給率11%のこの国では円安と原油高で経済と国民生活が揺すぶられる。
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コロナによる制限を余儀なくされる生活が始まって2年半が経過した。それに加えてこの物価高だ。モノ不足が起きるかもしれないし、この状況は意外と長く続く可能性もある。年金生活の団塊世代は最後の食い逃げ世代と揶揄され現役の人に比べたら恵まれていると思う。しかし先が短いだけに「いつまでも我慢はできない」「忍耐も限界だ」とやけっぱち消費に走りたくもなる。そこをぐっと我慢して70年代の二度のオイルショック時の狂乱物価を経験した知恵を活かす時かもしれない。知恵があればの話だけど。



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2021年の家計調査での2人以上世帯の実質消費は0.7%の伸びにとどまったという。物価も多少上がっているしコロナ禍で我慢していた購買意欲が復活するリベンジ消費が期待されていたのでもう少し上がっていると思ったが意外な低さだった。コロナ前の2019年と比べると-4.6%と依然低いままだ。この対前年比0.7%の低い伸びは他国と比較するとより明確になる。アメリカが8.0%、フランスが4.8%、イギリスが3.7%と日本より感染比率の高い国の消費が回復傾向にあるのに日本とドイツがだんとつに低い。
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この理由としては昨年4月から携帯料金が大きく下がったこともあるが、他国と比べて日本ではワクチン接種が遅れ経済活動再開がゆっくりだったこと、緊急事態宣言下での自粛や行動制限の期間が長かったこと、シニア層を中心に外出意欲が弱いままの人が多いこと、コロナが収束しても経済は元に戻らないだろうと考えたり長生きリスクなどの将来不安に備えての慎重な消費が理由だと思われる。言い方を変えれば我が国は感染を抑えるために社会生活や経済を犠牲にしているということだろう。

消費が伸びなかった代わりに貯蓄率は高いままだ。2020年は一人当たり10万円の特別定額給付金が配られ、その7割は消費ではなく貯蓄に回ったせいで貯蓄率は大きく跳ね上がったが、給付金のなかった2021年も34.2%と高いままだ。
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消費は0.7%伸びたものの、回復を示したのはリモート授業や講習が好調だった教育関連が15.7%、鉄道運賃が14.4%、航空運賃が6.2%などで、パック旅行費は‐82.3%、飲食費が-76.7%、食事代が-27.0%、家庭用耐久財が-10.3%と惨憺たる数字となっている。

比較対象にはならないかもしれないが我が年金生活世帯も食費は0.8%増えたものの、肉や魚の購入額が3割増えた一方で前年の巣ごもり消費で上昇した冷凍食品は-36.4%、麺類は-30.6%と激減した。外食費も-23.6%と続落し、総支出は結局-3.1%だった。2020年に支出が増えた日用品と衣類がその反動で-15.3%と-9.5%と下がったこと、ゴルフの回数が3割減ったことなどが主な理由だと考えられる。消費を控えているつもりは全くないのだが老人世帯には欲しいものはあまりないし、耐久消費財は壊れた時にしか買わない。外出は億劫だし感染も恐ろしい。結局毎日食べるものだけはおいしいものを食べたいという欲求だけが残されている。それだっていつまで自分の歯で咀嚼して食べられるかは分からないけど。
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2020年1月16日に最初のコロナ感染者が出てから3年目に突入した。経済を回さなければという必要性は十分に理解できるが、オミクロン株の感染の速さ、昨今の医療現場のひっ迫ぶりやブースター接種の遅れを見ていると老人はまだ安心して外に出られない。日経の記事には日本の家計にはコロナ前のトレンドと比べると約40兆円の超過貯蓄があるという。この春闘で給料が上がり、コロナが収束が見えてきて安心して外食や旅行ができるようになってこの40兆円が市場に回れば消費支出が戻るような気がするのだが。でも、日本人は貯蓄が好きだからなあ。



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日本で最初の新コロナウィルス患者が神奈川県で確認されたのが去年の1月16日。わが家から4キロの横浜港大黒埠頭に停泊中のダイヤモンドプリンセス号で集団感染が報告されたのが2月5日。2月13日最初の死者がこれも神奈川県で発生。陰性乗船客が我が家から6分の横浜駅から公共交通機関で帰宅し始めたのが2月19日。神奈川住民としてはこの頃から食料品などの買い物以外の外出を控えるようになり一種の籠城生活が始まった。3月25日東京都知事が外出自粛を初めて要請し、やがて日本中で自粛生活が始まり、4月7日には7都府県に最初の緊急事態宣言が発せられた。食料品や日用品の買いだめ、外食・飲食の激減、巣ごもり消費、デフレの進行などが報じられているが、引退老人世帯の家計・消費には何か変化があったのかを調べるため、我が家で自粛生活が始まった昨年2月から今年1月までの一年間の家計簿をその一年前と比較してみた。
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この一年間スーパーでの買い物以外の外出は激減したし金を使わなくなったなあと思っていたが支出は前年とほとんど変わらないマイナス0.04%だった。ちょっと納得できない。最も下がった項目はゴルフ関連で‐32.3%。これは回数も減ったし道具も買わなかったので納得。次が外食で‐22.5%そして医療費の‐13.7%。三密を避けたための出費減でこれも納得。つまり一年間良い市民だったということか。でも下がったのはこの三項目だけだった。

何が上がったのかと調べると額は大きくはないが衣料品が+52.5%で一番の伸び率。売り上げの下がっているアパレルメーカーからの特売メールが連日届き、アディダスやGAPをポチしたのが効いている。次が日用品・雑貨類の+39.0%。コロナ初期に買い込んだマスク、フェイスシールド、ハンドソープ、ペーパー類、消毒剤、洗剤類はまだ多少残っている。そして伸び率こそ+14.1%だが金額的に最も大きいのがやはり食費だった。菓子(+58.8%)、豆腐類(+39.5%)、総菜・調味料(+29.6%)、冷凍食品(+28.4%)、麺類(+25.9%)がベスト5。菓子、豆腐類、総菜は巣ごもり消費で増えた。自宅での鍋料理が増えたから豆腐や練り物の消費量が増加し、冷食と麺(乾麺中心)は非常食のローリングストックと食べる頻度が増えたためだ。

年間では+14.1%の食費だがコロナ騒ぎが起きた2月は+33.2%、翌月以降も+24.4%、+18.3%、+9.2%、+30.4%と動転振りがうかがえる数字になっている。先の短い老人も諦めが悪くて保存がきくレトルト食品や冷凍食品、缶詰、乾麺、カップ麺などを買いまくったのが数字を見れば明確だ。頭ではわかっているがオイルショックを経験したものとしてはあのモノ不足の印象が強く残っている。本当の意味で学習していないんだな、きっと。

だけど一年前には食い入るように見たコロナ関連のニュースも今では15時の東京都の新感染者数の発表を確認するために見るだけになった。慣れというか鈍麻されているいるのだろう。今日も駅の近辺の人出はいつもと変わらないように見える。感染者は減ってはいるのだが昨年4月7日に最初の緊急事態宣言が出た時(87人@東京都)より一桁多いのだ。一年前に不安になり慌てふためいて食糧確保に走った時の方がメンタリティとしては正常だったのかもしれない。



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昨年10月の消費税増税から半年が過ぎた。増税以外にコロナウイルスの流行とその影響下の買いだめ、いくつかの消費財の欠品、外出自粛要請などがあったので支出がどう動いたかを確認するため我が家の家計簿をまとめてみた。

この半年の我が家の消費支出は対前年比ー3.0%だった。増税に対して身構えて節約を心がけたせいだと思う。食費だけ見ると+3.6%だった。食費は軽減税率のおかげで消費税は8%のままなのでこの二ヶ月の巣ごもり消費による消費量の増加および家庭内在庫増のせいだと思われる。伸び率が高かったのは菓子(+95%)、飲料(+29%)、総菜(+26%)でこの間の自宅での食っちゃ寝生活を想起させる。しかしこの半年の10-12月と1-3月は状況がかなり異なるので分けて見たほうがいいかもしれない。

総務省の家計調査によると10ー12月の消費支出は対前年で-4.7%だった。5年前の3%増税時(5%から8%)は‐5.7%だったから今回の2%増税は軽減税率救済もあるが-4.7%は妥当な数字かもしれない。しかし政府は余程増税のせいだとは言いたくないらしく、この落ち込みを増税前の駆け込み需要の反動と台風のせいにした。今回は全く増税前の買いだめをせず台風の影響もなかった我が家の支出は-13%だったが、これは前年にゴルフ道具を購入したためでそれを除くと対前年比で+1.7%となる。増税のなかった食材費は‐2.4%と抑えられたが消費税が10%になった酒、外食、医療、日用品、衣料などの非食品が負担増となり消費支出を押し上げたのは明らかだ。

1ー3月の家計調査はまだ発表されていないのでわが家の分だけを記すと、消費支出は+8.8%と結構な上昇。1月から電気会社を変えて光熱費は19%下がったし、スマホのキャリアも変えて通信費も16%削減したのにこの数字だ。食費は10.5%の増加でコロナウイルス騒動で長期保存可能な食品やミネラルウオーターなどの飲料のローリング在庫を増やしたためで、食料は+14%、飲料は+45%増となった。食品では麺類(保存のきく乾麺が中心)が+54%、冷凍食品が21%の伸びを示している。わが家の食費の三大支出は野菜、総菜、菓子で伸びはそれぞれ‐2%、+7%、+170%(!)となっている。その他にゴルフ関連の支出が+68%と大きいが、これは20%、時期によっては30%のポイント還元のあったペイペイ払いで買ってしまったせい。政府の政策に乗せられてしまったが経済を回すために少し貢献したと考えて割り切ろう。

問題はこれからで、コロナ感染者が指数関数的に増え続け、現在の外出自粛要請がもう一歩進むようなことが起きると、外食などの家庭外消費がさらに減り、オイルショック時のような買いだめや欠品が発生し消費財の値上がりが起こり得る。また株価が下落したままだと消費マインドを冷やして更なる消費支出の下落が想定される。何事に対しても対応が後手後手に遅れ、和牛商品券のような能天気なことを考えているらしい政府には期待できない。先の短い老人は背を丸め首を縮めて嵐の過ぎ去るのを待つことしかできないが、若いフリーランサーや小規模商店主、非正規労働者はこの状況をどう凌ぐのだろうか。今日は4月1日。今起きていることが嘘だと本気で思いたい。



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https://www.slideshare.net/Mooming/marketing-research-153740991


クリックするとプレゼンテーション資料が表示されます。
マーケティング・リサーチに関する29ページのスライドです。
(旧)株式会社 リサーチ・インターナショナル・ジャパンの資料などを基に作成しています。




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先日まで2年間わが家のテレビには視聴率メーターがついていました。ビデオリサーチのではなく、シングルソース・パネルと呼ばれるテレビの視聴状況、ネットのサイト接触状況、毎日の買い物をバーコードスキャンする家計簿調査の三つを同一サンプルで調べ、情報接触と購買行動の因果関係を探ろうというものです。写真の右下にあるのがリモコン受光器とルーターです。青いランプが私、赤いランプが家内が見ていることを表します。見ているチャンネルは5チャンネル。全ての情報はルーター経由で調査会社に即時送られます。昔の視聴率調査は週一回調査会社がパンチテープを回収に来たり、深夜3時ころ自動電話回線で送ったりしたものですが、すごい進歩です。
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2年で終了と言うことは毎月24分の1づつサンプルを入れ替え、入れ替えに伴うデータの変動を最小化しながら2年で全サンプルを構成し直すためです。(ちょっと前に問題を指摘された厚労省の勤労統計調査もこのように少しづつサンプルを入れ替えていけばよかったのに。)サンプルローテーションをちゃんとしているこの調査会社はまあ信用できます。大手でも10年以上ローテーションしないで同じサンプルパネルからデータをとっている会社もありますから。

それとも調査が終了したのは70歳以上の高齢者のデータが不要なのでは、と考えたりもします。私は数社の調査モニターに登録していますが、最近年齢や職業(無職)を入れるとそこで終了する調査が多くなりました。もうデモグラフィックだけでは消費者を捉え切れないし、この年代は団塊世代を中心に人口的にも無視できないボリューム層でもあり、大金はなくとも小金は持っていて購買行動も比較的活発な世代なのにね…
調査会社の人は、ネット調査などに参加している高齢者は妙に過敏で代表性に欠けるような気がすると言います。確かにわが家のメディア接触と購買行動もも母集団から少しずれているかもしれないけど。



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フェイスブックは世界で23億人の月間アクティブユーザーを誇る最大のSNSで(2019年4月現在)、日本でも2800万人のユーザーがいるのだけど最近は少し活気がないように思われる。周りを見ても登録したもののほとんど投稿しない人、退会した人、投稿回数激減の人が結構多い。調べてみると、登録者こそ減ってはいないが訪問者は微減している。若い人、特に15-24歳が激減し、25-44歳のアクティブユーザーも減っている。伸びているのは45歳以上の中高年層のみ。

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2018年に起きた個人情報流出時に離れた人が相当数いたし、若者の間ではフェイスブックは老人のSNSとみなされるようになってしまった。アメリカなどでも就職活動時に過去のフィードを消して採用にマイナス影響を与える情報を消し有利に採用を勝ち取ろうとする人が多いと聞く。実名登録SNSはフェイスブックの強みでもあったが、こうした場合には弱点になりかねない。

で、若い人たちは何処に行ったのか。日本に特有な現象だけれどLINEとTwitterが伸長し、それにInstagramもユーザーを増やしている。LINEは日本で最大のSNSで部分的にはメールの代替となっている。Twitterは世界では減少中だが、わが国ではいまだに成長中。

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Instagramはユーザーが3300万人とファイスブックの2800万を超え、LINE、Twitterに次ぐ勢力となった。全年齢層で伸びているが特に15-24歳と25-34歳層で顕著だ。写真中心で長いキャプションを書く必要がなく叩かれる確率も低い。フェイスブックから逃げ出してInstagramに移動したとも考えられる。最近はInstagramでも24時間で消去されるストーリーズへの投稿率が上がっているのは、投稿はしたいが足跡を残したくない心理の表れかもしれない。

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じゃ、老人はどうするのだろうか。仲間が沢山集っているのはいまだにフェイスブックだし、新しいSNSを覚えるのも面倒だし、暫くはこのままでいこうと考える人がほとんどだろう。還暦を過ぎてから急増する同窓会の告知にも便利だし、最近とみに増えた訃報を伝達するのにも重宝だ。

それにしてもこういう調査データがほとんど64歳とか60代で打ち切られているのはなぜなのか。65歳以上の意見や使用実態は不要なのだろうか。ま、確かに先は長くはないのだけれど、と人口や消費量的には無視できないであろう世代はやっかみながらデータを見つめて考える。



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