菓子の仕事を15年間していたので引退した今でも菓子業界が気になる。2022年の菓子統計が発表されたので久しぶりに数字を追いかけてみた。
昨年の我が国の菓子類小売り金額は3兆4361億円で対前年比は+4.2%と前年に続き2年伸長し、コロナで落ち込んだ分を取り戻しつつある。2022年は小麦粉や油の値上がり、エネルギー価格の上昇、輸送費の高騰があり菓子メーカーが値上げをしたことも小売り金額上昇の一因でもあるが。
最大のカテゴリーはチョコレートで5750億円。その後をスナック菓子、和生菓子、洋生菓子、ビスケット、米菓が続く。ちょっと待った。私が菓子の仕事に従事していたころ、四半世紀も前だけど、トップは和生菓子で次が洋生菓子、チョコレートはいつも3番目だった。チョコレートが大きく伸びたこともあるが、和生菓子と洋生菓子が縮んだと言った方が正解だろう。1995年と比べると洋生菓子が25%、和生菓子が18%下降している。需要不足と生産現場の人材人員不足が原因と思われる。同期間でチョコレートは36%成長している。直近10年の伸長率はこんな感じになる。
チョコレート、スナック菓子、ビスケットはコンスタントに伸び続け、チューインガムは下降し続けている。チューインガムは95年比でマイナス60%と悲惨な状態だ。ガムメーカーはグミやミント菓子に市場を奪われたと言い訳がましく言っている。確かにグミは伸びているが、グミやミント菓子を含む飴菓子自体はこの10年ほぼ横ばいなので、ガムだけでなくキャンディもグミの影響を受けていると考えるべきだろう。
キャンディ専業メーカーであるカンロはこのまま若年層のあめ離れが進むと市場全体が縮小すると危惧して、Z世代に向けて「飴の原体験共創プロジェクト」を高校生と共に開始した。ガムメーカーも「歯周病予防にチューインガムは有効」というキャンペーンを歯科医院などで行っているが効果のほどはまだ分からない。
菓子市場トータルで見るとこの30年間大きな変化はなく3兆円強の市場である。しかし好調な分野とそうでない分野が存在する。新規の素材・原材料や製法などもあまりない市場なのでメーカーの機能性商品を中心とした新製品開発がカテゴリーの浮沈を分けているのは、新製品の多いチョコレートやスナック菓子の好調さを見ればわかる。インバウンド需要がしばらくは期待できないのであれば、ECなどのさらなる販路開拓や高齢者向けの機能性商品や健康商品の開発などメーカーができることはまだありそうな気がする、と最近は固いせんべいを敬遠しがちなジジイは思うのですが。
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昨年の我が国の菓子類小売り金額は3兆4361億円で対前年比は+4.2%と前年に続き2年伸長し、コロナで落ち込んだ分を取り戻しつつある。2022年は小麦粉や油の値上がり、エネルギー価格の上昇、輸送費の高騰があり菓子メーカーが値上げをしたことも小売り金額上昇の一因でもあるが。
最大のカテゴリーはチョコレートで5750億円。その後をスナック菓子、和生菓子、洋生菓子、ビスケット、米菓が続く。ちょっと待った。私が菓子の仕事に従事していたころ、四半世紀も前だけど、トップは和生菓子で次が洋生菓子、チョコレートはいつも3番目だった。チョコレートが大きく伸びたこともあるが、和生菓子と洋生菓子が縮んだと言った方が正解だろう。1995年と比べると洋生菓子が25%、和生菓子が18%下降している。需要不足と生産現場の人材人員不足が原因と思われる。同期間でチョコレートは36%成長している。直近10年の伸長率はこんな感じになる。
チョコレート、スナック菓子、ビスケットはコンスタントに伸び続け、チューインガムは下降し続けている。チューインガムは95年比でマイナス60%と悲惨な状態だ。ガムメーカーはグミやミント菓子に市場を奪われたと言い訳がましく言っている。確かにグミは伸びているが、グミやミント菓子を含む飴菓子自体はこの10年ほぼ横ばいなので、ガムだけでなくキャンディもグミの影響を受けていると考えるべきだろう。
キャンディ専業メーカーであるカンロはこのまま若年層のあめ離れが進むと市場全体が縮小すると危惧して、Z世代に向けて「飴の原体験共創プロジェクト」を高校生と共に開始した。ガムメーカーも「歯周病予防にチューインガムは有効」というキャンペーンを歯科医院などで行っているが効果のほどはまだ分からない。
菓子市場トータルで見るとこの30年間大きな変化はなく3兆円強の市場である。しかし好調な分野とそうでない分野が存在する。新規の素材・原材料や製法などもあまりない市場なのでメーカーの機能性商品を中心とした新製品開発がカテゴリーの浮沈を分けているのは、新製品の多いチョコレートやスナック菓子の好調さを見ればわかる。インバウンド需要がしばらくは期待できないのであれば、ECなどのさらなる販路開拓や高齢者向けの機能性商品や健康商品の開発などメーカーができることはまだありそうな気がする、と最近は固いせんべいを敬遠しがちなジジイは思うのですが。
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