マーケティング爺のひとりごと

外資系7社でチューインガムから抗癌剤までのマーケティングを生業としていた引退老人です。使えそうなデータや分析、気になった出来事、思い出、日々思うことなどをボケ防止のため綴っています。にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ
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タグ:オイルショック

6月1日から多くの食品が値上がりするとどの局も報道していましたね。6月1日出荷分から値段が上がるものとその値上がり率は下記のようです。

ネスプレッソ10杯 13%
カップヌードル 11%
サッポロ一番 11%
赤いきつね 11%
からあげくん 10%
味の素 8%
森永ピノ 7%
森永チョコモナカ 7%
明治エッセル 7%
富士そば 6%
CoCo壱番屋 6%
ブルドッグソース 6%
ミツカン穀物酢 5%

6月だけで食品の1500以上の品目が値上げを予定しているとのこと。7月にはそれを上回る2100もの食品が値上げされます。値上げ幅も2~3%などではなく10%以上のものも数多くあります。パン類やコーヒーは昨年から小刻みに値上げされているし、7月以降に値上げされる食用油やすり身、冷凍食品の一部は20%の値上げが想定されているようです。
2022-06-01 (1)
帝国データバンクの調査によると今年中に値上げをした又はする予定がある食品や飲料は8300にもなるという。食品飲料会社の65%が値上げをする予定で平均値上げ幅は13%と高い。いままで値上げを我慢してきた分もあるのでしょうが、原油や小麦の値上がりに加えてウクライナ侵攻でエネルギー価格がさらに上がったこと、最近の円安で輸入価格が円ベースで上昇したことなどが背景にあるということです。それにしても13%は大きい。相当なインパクトが家計にのしかかかります。

どのくらいの負担増になるか計算をしてみると(高齢年金世帯で参考にはならないが)食品+飲料への支出の6割のアイテムが平均13%上がるとすると7.8%の支出増となり我が家の場合金額では年間約58000円の増加となります。食費だけではなく光熱費の値上がりも大きい。電気は9か月連続で単価が上がりガスもガソリンも水道(横浜市は昨年7月に+12%に)も値上げされている。我が家の1~5月の光熱費は対前年比で未曽有の+29.8%増で、このまま行けば年間の光熱費は毎月前年比で+1万円、年間で12万円増ととんでもない金額になります。食品飲料の増加と合算すると約18万円の負担増で一ヵ月分の年金が消えることを意味します。

このような多くの商品の値上げは前例がなく1979年の第二次オイルショックの時のようなCPIの上昇が起きるかもしれません。節約はしようとは思いますが食品の節約には限界があるし、先の短い老人ゆえ残りの人生を我慢して生きるのも寂しい気もします。問題はこれがいつまで続くかで、第一次・第二次オイルショック時の狂乱物価のように約一年で収束すればいいのだけれど、今の原油価格、穀物価格、円安が継続されるとなると一年では済まないかもしれません。消費者物価指数は3月から上がり始めたように見えますが実際は昨年夏から上がっています。一昨年に下げられた携帯料金が物価上昇を隠していただけで、そのインパクトが今年の4月から消えたので一気に上がったように見えるだけです。つまり物価は約10か月前から上がっているのです。この物価上昇が一年以上続くことは確かだと考えた方がよいと思います。
2022-06-01
かつて1974年にCPIが23%上昇したとき、多くの企業は物価高に対応できるように従業員の賃金を上げることができた。私の月給も30%近く上がったと記憶しています。残念ながら日本の現在の状況では賃金の上昇はは物価の上昇に追いつかないことが懸念される。このままだと日本がますます貧しい国になっていくようで悲しい。



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今日みなとみらいのOKストアに買い物に行った。コロナウイルスがさらに広がって外出するのが憚られる前にローリングストックのミネラルウォーターと冷凍食品などの非常食を仕入れに行ったのだが、入口付近に長い行列が。マスクが入荷したらしく100人近い人が並んでいる。
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子供を持っている人は登校にマスクは必需品だから大変だなあと思いながら隣のブロックへティッシュペーパーを買おうと思って向かったらいつもと様子が異なる。トイレットペーパーやティッシュが何間もの棚スペースに並んでいるはずなのに一つもない。傍らには店から依頼されて製品を運んできたらしい製紙メーカーの人らしき二人が呆然と立っている。
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この景色はいつか見たものと同じだ。1973年のオイルショック時に品切れが起きるという噂を信じた人たちがスーパーに買い占めに走り、値段が倍以上になっても長い行列ができた。学生だった私も通常ならば数十円で買えたクリネックスひと箱に(当時は5箱パックなどなかった)200円を払ったことを今でも覚えている。ちなみにクリネックスは1969年の発売で当時は現在の半分の量(2枚重ねの100組で計200枚)で定価は80円だった。
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あの時は中東戦争のせいで原油価格が70%上昇し、当時の内閣が紙を節約するよう呼びかけをしていたし、これから中東の戦争がどうなるか分からなかったので、たしかにパニックではあったが原油高騰による物不足への恐怖が背景にあったと思う。しかし今回の買い占めはメーカーにも在庫は有り、生産も順調で、かつ噂されるような「原材料は中国だのみ」でもなく(ティッシュは98%は国産)品不足になる可能性がほぼ無い。なのにトイレットペーパーやテッシュだけでなくキッチンペーパーや生理用品まで棚から消えている。

今回の騒動が1973年の買い占め騒ぎと一番異なるのは、他のアジア諸国で起きた買い占めが日本に伝染したことだろう。発端は香港で、マスクを増産するため中国本土でトイレットペーパー生産が停止したと噂がたち、買い占めが始まりトイレットペーパー窃盗事件まで起きた。同様なうわさが台湾やシンガポールに広まりスーパーの棚が空になった。そして日本に。わが家の近所のミニスーパーでも二日前くらいから棚が寂しくなり今日は上と同様な案内が貼ってあった。50年近く前の騒動は新聞への投書や流言飛語、いわゆるクチコミが火付けの源だったのに現在ではネットやSNSでの拡散が主で、その特徴は拡散スピードが速い、拡散されるエリアが広いことだ。こういうのもグローバリゼーションと言うのでしょうかね。



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