子供のころから広告が好きだった(16)

小学生の頃、保守的な街で母親は当時としては珍しく活動的で、毎週カルチャーセンターのコーラスに参加したり、マチネだったと思うがコンサートにも出かけていた。帰ってくると、(当時NHK名古屋のアナウンサーだった)下重暁子がかわいかった、とか立川澄人は上手い、とか(当時モデルだった)岡田真澄はいい男だわとか呟いていた。家の中でも掃除をしながら、食事を作りながらいつでも練習中の歌を口ずさんでいた。

ある時コンサートのプログラムが置いてあったのでパラパラとめくっていたら、ヤマハ(だったと思う)の広告にその美少女が載っていた。ハーフなどほとんどいなかった時代、もちろん国民的美少女コンクールもなかった時代にこんな美しい少女がいるなんて。多分あの頃鰐淵晴子の写真を見た少年はみんな恋に落ちたと思う。そのくらいの衝撃だった。ネットでその広告を探したが見つからなかった。その頃の彼女の写真にはこんなものがある。

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隣にいるのは原節子。と言うことは初主演映画「ノンちゃん雲に乗る」からのカットだと思う。母の本棚にはこの原作本もあってそこにも彼女の写真が載っていた。幼い時から天才バイオリニストと呼ばれ、子役デビューしてからは姉妹で競わないようにとモデルもしていた妹の朗子がバイオリン、晴子が女優の道に進んだ。下の写真の左が晴子、右が朗子。
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その後「乙女の祈り」「伊豆の踊子」「あんみつ姫の武者修行」などの主演、トニー・ザイラーと共演の「銀嶺の王者」など多くの映画に出演したが大ヒットとまではいかなかった。二度の結婚を経て再度映画やテレビに出るようになったが役柄はがらりと変わった。若いころの美貌に凄みが増し「らしゃめん」「悪魔が来りて笛を吹く」「八つ墓村」などかつての清純派女優とは全く異なる妖艶な悪女役でその存在感を示した。

でも、そういう役もよかったのだけれど数十年前に胸躍らせた少年の脳裏にはあの頃の愛くるしく清楚な美少女鰐淵晴子の残像がいまだに留められているのです。

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