子供のころから広告が好きだった (28)
定年退職後は買い物と昼食と夕食の調理の担当となっている。野菜を洗っていて気がついた。最近の野菜には時々虫食いはあるが虫そのものはいない。昔はホウレンソウや白菜の葉の間に時々小さな虫がいた。農薬が付着している可能性もあったので、キャベツも今のように丸ごと包丁を入れたりはできず、一枚ずつむいて洗わなくては恐ろしくて食べられなかった。それで我が家の台所にはいつもライポンFがあった。(写真は昭和37年の広告)

そのライポンはもともとは衣料用の洗剤だった。昭和26年に日本初の鉱油系合成洗剤として発売され、山本富士子の「洗う労力半分で、布地の輝き三倍に」のCMと共に世に出た。しかし当時は第一工業製薬のモノゲンと昭和28年に発売された花王のワンダフルの競合製品が強く苦戦を強いられた。追い詰められたライポンがとった戦略は「ライポンの新しい用途をご存じですか?」と戦場を変えて、野菜などに付着している大腸菌や回虫の卵を駆除することを訴求するというものだった。これは当時の厚生省から寄生虫による健康被害対策として食器、野菜や果物用の洗剤開発の要請を受けたことも背景としてあった。
当時の製品はは粉末だったが大都市圏で30万軒にサンプル品を配布しアンケート調査をするなどの大々的なプロモーションを実施した。昭和31年には完全に食器、野菜、果物用の台所洗剤にリポジショニングして名前もライポンFに変更した。その後「野菜・果物は洗剤で洗いましょう」日本食品協会推奨品ライポンF、の新聞広告や、テレビ広告を打ち啓蒙活動に励んだ。その結果野菜を洗剤で洗う習慣が根付き始め昭和33年末には売れ始めたとのこと。翌34年には液体ライポンFを発売し、そのコピーは「水の17倍もきれいに洗えます」という挑戦的なものだった。
当然競合も黙っているはずはなく、花王は昭和33年に台所洗剤のワンダフルKを液体と粉末の2フォーマットで売り出した。ライオンも昭和41年に同じカテゴリーに二つ目のブランドであるママレモンを投入して対抗した。その後は製品差が付きにくくなり花王は手を守るファミリー、ライオンはチャーミーシリーズで香りや乾きやすさといったソフト面を強調するようになった。その後昭和50年代に入ると合成洗剤そのものが環境問題、水質汚染問題、誤飲問題などで悪者視されるようになり、メーカーは対応するため無リン化、石油系原料から植物系原料への転換などを余儀なくされ冬の時代に入った。また農薬使用量が減ったため野菜・果物を洗剤で洗う必要性が薄れ、ライポンFも昭和60年代に家庭用が終売となり、現在は業務用だけが売られている。

農薬の乱用が問題になっている中国では中性洗剤で野菜を洗うのは常識らしいが、わが国では野菜を洗剤で洗う人は少なくなったものの、ハンバーガーチェーンなどでは野菜を洗剤で洗い、よくすすいでから提供しているようだ。最近は市場には野菜・果物専用の洗浄剤があり、その多くは貝殻を高温で焼いてできたカルシウムが主成分のものだ。水洗いだけでは落ちにくい農薬やワックスを洗い流してくれるのが売りで、「生で食べる野菜が水洗いだけでは心配だ」という人たちに重宝がられている。
家庭用の台所洗剤のいくつかには、用途の欄に「野菜・果物・食器・調理用具用」といまだに記されている。

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定年退職後は買い物と昼食と夕食の調理の担当となっている。野菜を洗っていて気がついた。最近の野菜には時々虫食いはあるが虫そのものはいない。昔はホウレンソウや白菜の葉の間に時々小さな虫がいた。農薬が付着している可能性もあったので、キャベツも今のように丸ごと包丁を入れたりはできず、一枚ずつむいて洗わなくては恐ろしくて食べられなかった。それで我が家の台所にはいつもライポンFがあった。(写真は昭和37年の広告)

そのライポンはもともとは衣料用の洗剤だった。昭和26年に日本初の鉱油系合成洗剤として発売され、山本富士子の「洗う労力半分で、布地の輝き三倍に」のCMと共に世に出た。しかし当時は第一工業製薬のモノゲンと昭和28年に発売された花王のワンダフルの競合製品が強く苦戦を強いられた。追い詰められたライポンがとった戦略は「ライポンの新しい用途をご存じですか?」と戦場を変えて、野菜などに付着している大腸菌や回虫の卵を駆除することを訴求するというものだった。これは当時の厚生省から寄生虫による健康被害対策として食器、野菜や果物用の洗剤開発の要請を受けたことも背景としてあった。
当時の製品はは粉末だったが大都市圏で30万軒にサンプル品を配布しアンケート調査をするなどの大々的なプロモーションを実施した。昭和31年には完全に食器、野菜、果物用の台所洗剤にリポジショニングして名前もライポンFに変更した。その後「野菜・果物は洗剤で洗いましょう」日本食品協会推奨品ライポンF、の新聞広告や、テレビ広告を打ち啓蒙活動に励んだ。その結果野菜を洗剤で洗う習慣が根付き始め昭和33年末には売れ始めたとのこと。翌34年には液体ライポンFを発売し、そのコピーは「水の17倍もきれいに洗えます」という挑戦的なものだった。
当然競合も黙っているはずはなく、花王は昭和33年に台所洗剤のワンダフルKを液体と粉末の2フォーマットで売り出した。ライオンも昭和41年に同じカテゴリーに二つ目のブランドであるママレモンを投入して対抗した。その後は製品差が付きにくくなり花王は手を守るファミリー、ライオンはチャーミーシリーズで香りや乾きやすさといったソフト面を強調するようになった。その後昭和50年代に入ると合成洗剤そのものが環境問題、水質汚染問題、誤飲問題などで悪者視されるようになり、メーカーは対応するため無リン化、石油系原料から植物系原料への転換などを余儀なくされ冬の時代に入った。また農薬使用量が減ったため野菜・果物を洗剤で洗う必要性が薄れ、ライポンFも昭和60年代に家庭用が終売となり、現在は業務用だけが売られている。

農薬の乱用が問題になっている中国では中性洗剤で野菜を洗うのは常識らしいが、わが国では野菜を洗剤で洗う人は少なくなったものの、ハンバーガーチェーンなどでは野菜を洗剤で洗い、よくすすいでから提供しているようだ。最近は市場には野菜・果物専用の洗浄剤があり、その多くは貝殻を高温で焼いてできたカルシウムが主成分のものだ。水洗いだけでは落ちにくい農薬やワックスを洗い流してくれるのが売りで、「生で食べる野菜が水洗いだけでは心配だ」という人たちに重宝がられている。
家庭用の台所洗剤のいくつかには、用途の欄に「野菜・果物・食器・調理用具用」といまだに記されている。
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