マーケティング爺のひとりごと

外資系7社でチューインガムから抗癌剤までのマーケティングを生業としていた引退老人です。使えそうなデータや分析、気になった出来事、思い出、日々思うことなどをボケ防止のため綴っています。にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ
にほんブログ村

2019年08月

子供のころから広告が好きだった(4)

名古屋には市内に本社を置く製パン会社が2社あります。フジパンと敷島パンです。子供のころ街にはパン菓子店がたくさんありフジか敷島のどちらかを扱っていました。フジのほうが圧倒的に優勢だったと記憶しています。広告もフジがテレビや宣伝カーで流していたのに対し敷島の印象はあまりありません。CMソングの最後の「パ~ンならシキシ~マ 敷島パン」しか憶えていません。おとなしいというか品がよい会社でした。これは「ねのひ」の醸造元やソニー創業者である盛田昭夫氏で有名な盛田家の一族が創業したせいかもしれません。一方フジパンの宣伝カーは毎週のように廻ってきました。

山は富士山 日本一
パンなら富士パン 日本一
やっぱり富士パン おいしいね
めっきり健康 富士パンで

今ならとても使えない文言です。世は朝食がご飯食からパン食へと移行しつつある時期でもあり、パンメーカーとして必死に啓蒙活動をしていたのだと思います。そんな時、東京で一番売れているパンが名古屋に来るというニュースが流れ、友達と隣町まで偵察に行きました。ヤマザキパンののぼりが何本も立っていました。なんとなく洒落ていてフジと敷島は大丈夫だろうか、と子供心に心配しました。

それから数十年。両社ともに健在です。フジはパンだけでなく惣菜やマックのバンズも手がけるようになり、敷島はヤマザキに次ぐ製パン業界第二位となっています。「超熟」のヒットもありますが、東京に進出するときに敷島の名前を出さずにパスコを前面に出したのが効いたとも言われています。PascoはPan、Shikishima、Companyというポルトガル語、日本語、英語の頭文字をとって作った造語ですが、こんなところが名古屋の会社らしくていいですね。

15965605_1280686248664858_77437646600122860_n
16003255_1280685961998220_7641779149350417416_n



ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

子供のころから広告が好きだった(2)

今の子供はテレビやPC・スマートフォンで広告を見るけど、私の子供時代は屋外広告だった。新しい商業ビルが建てば数個のアドバルーンが浮かび、高層ビルがないので遠くからでもその場所が確認できた。時々セスナが飛んできてチラシを撒いた。空からキラキラ光りながら降りてくるチラシを友達と走って取りにいった。車があまり走っていないから可能だった宣伝でしたね。(たまに車が通ると排気ガスの匂いを嗅ぐために追いかけもした)

街には週に一回くらいロバのパン屋がやってきて、「できたて焼きたていかがです~」とテーマソングを流していた。たいていはロバではなくてポニーで、白いポニーは少し汚れていて疲れ気味に見えた。時折大音声で音楽を流しながら宣伝カーも来た。一番記憶に残っているのはオリエンタル・カレーの車とあのCMソング。
15940952_1274693505930799_810906413566592610_n
なつかしい なつかしい あのリズム
エキゾチックなあの調べ
オリエンタルの謎を秘め
香るカレーよ夢の味
嗚呼 夢のひと時 即席カレー
君知るや 君知るや
オリエンタルカレー


インスタントではなく即席カレー、それに「夢の味」!!!。カレーが大ご馳走だった時代だ。オリエンタルは愛知県の会社で、歌っていたのは名古屋出身の女性カントリー歌手トミー・藤山だった。一度は彼女が乗っていてショーがあり、その後カレーの実売をするのに出くわした。トミー藤山はまだ現役で、ディスコグラフィーを見るとSP19枚、シングル18枚、LP7枚、CD4枚とある。SP19枚がすごい。このCMソングもテレビで流されて有名になった。私いまでもちゃんと歌えます。

15941039_1274693702597446_6716495461906521395_n

オリエンタルはその後スナック・カレーを発売し、南利明の「ハヤシもあるでよ~」のテレビ広告で名古屋以外でも知られるようになった。ただ今日近所のスーパー2軒を見て廻ったがカレールーの棚はS&Bとハウスばかりでオリエンタルは見つけられなかった。


オリエンタルカレーの唄は下記クリックで聞くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=78FJ3W4j2Ns




ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

子供のときから広告が好きだった(1)

小学2年の時に我が家にTVが来た。町内で2番目だったと思う。1番は父親が勤める鉄鋼会社の重役だった。課長の父親が先に買うわけにはいかなかったのだろう。14インチのブラウン管で確か値段は10万円ちょいだった。大卒の初任給が1万円強だったからかなりの贅沢品だった。NHK一局だけしかなく放送は夕方から始まった。1年後中部日本放送(CBC)が開局しテレビ広告に接するようになる。

日本で最初のCMソングは1951年9月にCBCラジオと新日本放送(現毎日放送)で流された小西六写真工業の「僕はアマチュアカメラマン」とその数日後に流されたサンスターの「ペンギンの歌」だとされる。「アマチュアカメラマン」は三木鶏郎の作詞・作曲で当時の人気歌手灰田勝彦が歌っていた。
history_timeline_pict007
僕はアマチュアカメラマン

素敵なカメラをぶらさげて
可愛い娘を日向に立たせ
前から横から斜めから
あっち向いてこっち向いて
はい パチリ!はいいけれど
写真ができたらみんなピンボケだ
あらピンボケだ おやピンボケだ
嗚呼みんなピンボケだ

曲の人気はすこぶる高かったが、歌詞の中の「みんなピンボケだ」「二重撮り」「露出過度」などが気に入らなかった写真店主の間では評判は芳しくなかったらしい。TVで見た記憶はないのだが「ペンギン」のテレビ広告はよく憶えている。
page_04-img-01
氷のお山ですまし顔

いつも気取って燕尾服
もしもステッキ買い込んで
黒いかばんを持ったなら
とても立派なお医者さん
ペンギンペンギン可愛いな

モノクロのアニメーションにこの歌が乗っかっていた。個人的には「オーロラ輝くその中で なんとお洒落な燕尾服」で始まる2番のほうが気に入っていたのだが、2番を憶えているということは60秒かそれ以上の広告だったのだろう。当時1分のCMや3分の生CMはごく普通にオンエアされていた。一社単独提供番組の中で番組の一部のように流され、憶えられ、流行し、レコードになったりNHKで流されたりもしたそうだ。

今では考えられないが、この2曲には社名も製品名も一切登場しない。現在のイメージソングのような感じかもしれない。金と時間をかけ、クリエイターに全面的に任せる。テレビ広告の揺籃期はのどかでおおらかで良い時代だった。


僕はアマチュアカメラマン、下記をクリックすると聞けます。
https://www.youtube.com/watch?v=WPC6C289u3E

サンスターのペンギンは下記です。
https://www.youtube.com/watch?v=j0xT5kDHjSg





ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

子供のころから広告が好きだった(14)

どんなものなのか理解できなくても広告で「OO配合」とか「有効成分OO」と言われると昔からなんとなく信じてしまう。私は単純な人間です。

子供のころミツワ石鹸の薬用「ミューズ」のテレビ広告の「G11アネガム(だったと思う)配合」の文言を見て、どんな菌でも殺してしまうんだと思った。花王がP&GのHead & Shouldersのコピーであるメリットシャンプーを発売した時も「ジンクピリチオン」という成分名をすぐ覚えたし何年間か使ってもいた。
G11アネガムもジンクピリチオンもどんな成分でどう機能するのかも知らなかったが、仕事をするようになってこれらが消費者ベネフィット(使用することによる利点)を強化・正当化するRTB(Reason to Believe)だと教わりました。

42317203_1926373880762755_4063157749142257664_n

クロレッツを開発し広告を制作している時に、当時の米国人社長に言われました。クロレッツはコンセプトで売る製品です。テレビ広告では効果は当然だが、我が社独自の有効成分である「アクチゾル」を前面に出して宣伝しなさい。でも決して、決して「アクチゾル」がなんであるかを広告内で語ってはいけない。消費者にMagical Recipeだと思わせなさい、その方が消費者は信じやすいのですよ、と。

さっき調べたら家にあるミューズのパッケージには「G11アネガム」の文字は既になく、メリットからも香りが悪いという理由で「ジンクピリチオン」は外されている。今日店頭で見たクロレッツにも「アクチゾル」の表示は見当たらず(原材料表示から推測するとまだ含有されているはず)、「緑茶ポリフェノール配合」の表示だった。こんなどこでも使われている有効成分では分かりやすすぎてありがたみに欠ける。あのRTBやMagical Recipeはどこに行ってしまったのだろうか。

下をクリックすると1984年の田中裕子主演のメリットのCMが見られます。「ジンクピリチオン」出てきます。ちなみにアメリカP&GのHead & Shouldersはいまだに「ジンクピリチオン」配合です。

https://www.youtube.com/watch?v=4k5ga54PJ6o


ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

セブンイレブンの冷凍チャーハンが売れているらしい。先日発表された日経クロストレンドの「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」でも開発者が6人の内の一人に選ばれていました。発売は2018年11月とのことですが、迂闊なことに製品の存在を知らなかった。セブンに行くと、店内の冷凍ケースにチャーハンとピラフが2フェイスずつ並んでいる。4フェイスも取るなんて、と思いながら店内を一巡して戻ってくるとチャーハンが2つ減っていた。確かに売れているみたい。一つ買って帰ってきました。

IMG_3729
なんだか見た目はカップヌードル。開発者は学生街の店の一人前の冷凍チャーハンのPOSデータの異常値に気づき、学生が袋入りの冷凍チャーハンを店内でチンしてスプーンで食べているのを見て閃いたという。おにぎりを二つ食べるより安いし、なによりも暖かくておいしい。冷凍食品は自宅で食べるものだという思い込みが覆されたことが新しい製品を生み出したのでしょうね。

カップ入りのご飯と言えば1975年に日清食品から発売された「カップライス」を思い出します。当時問題になっていた余剰米の処理にも貢献できるし、カップヌードルの成功の再現が期待されました。スタートは順調だったものの味の評価は高くはなく、当時200円という価格と湯切りをしなくてはいけないなどの理由で失速し製造中止となりました。後年この経験が「カップヌードルごはん」や「カレーメシ」に活かされているようです。
IMG_3732

今回の冷凍カップチャーハンは税抜き198円だしチンするだけで湯切りも必要ない。味もカップライスと比べると美味だし、小腹の空いた時やオフィスでのランチにもなります。冷凍食品として家庭外という新しい市場を開拓したことは間違いないでしょう。ただ若い人には量が物足りないだろうし、プラスティックの容器は環境的には改善の余地があります。日清のカップヌードルのように紙製に変えられればさらに受け入れられると思うのですが。



ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

↑このページのトップヘ