マーケティング爺のひとりごと

外資系7社でチューインガムから抗癌剤までのマーケティングを生業としていた引退老人です。使えそうなデータや分析、気になった出来事、思い出、日々思うことなどをボケ防止のため綴っています。にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ
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2020年02月

今日みなとみらいのOKストアに買い物に行った。コロナウイルスがさらに広がって外出するのが憚られる前にローリングストックのミネラルウォーターと冷凍食品などの非常食を仕入れに行ったのだが、入口付近に長い行列が。マスクが入荷したらしく100人近い人が並んでいる。
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子供を持っている人は登校にマスクは必需品だから大変だなあと思いながら隣のブロックへティッシュペーパーを買おうと思って向かったらいつもと様子が異なる。トイレットペーパーやティッシュが何間もの棚スペースに並んでいるはずなのに一つもない。傍らには店から依頼されて製品を運んできたらしい製紙メーカーの人らしき二人が呆然と立っている。
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この景色はいつか見たものと同じだ。1973年のオイルショック時に品切れが起きるという噂を信じた人たちがスーパーに買い占めに走り、値段が倍以上になっても長い行列ができた。学生だった私も通常ならば数十円で買えたクリネックスひと箱に(当時は5箱パックなどなかった)200円を払ったことを今でも覚えている。ちなみにクリネックスは1969年の発売で当時は現在の半分の量(2枚重ねの100組で計200枚)で定価は80円だった。
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あの時は中東戦争のせいで原油価格が70%上昇し、当時の内閣が紙を節約するよう呼びかけをしていたし、これから中東の戦争がどうなるか分からなかったので、たしかにパニックではあったが原油高騰による物不足への恐怖が背景にあったと思う。しかし今回の買い占めはメーカーにも在庫は有り、生産も順調で、かつ噂されるような「原材料は中国だのみ」でもなく(ティッシュは98%は国産)品不足になる可能性がほぼ無い。なのにトイレットペーパーやテッシュだけでなくキッチンペーパーや生理用品まで棚から消えている。

今回の騒動が1973年の買い占め騒ぎと一番異なるのは、他のアジア諸国で起きた買い占めが日本に伝染したことだろう。発端は香港で、マスクを増産するため中国本土でトイレットペーパー生産が停止したと噂がたち、買い占めが始まりトイレットペーパー窃盗事件まで起きた。同様なうわさが台湾やシンガポールに広まりスーパーの棚が空になった。そして日本に。わが家の近所のミニスーパーでも二日前くらいから棚が寂しくなり今日は上と同様な案内が貼ってあった。50年近く前の騒動は新聞への投書や流言飛語、いわゆるクチコミが火付けの源だったのに現在ではネットやSNSでの拡散が主で、その特徴は拡散スピードが速い、拡散されるエリアが広いことだ。こういうのもグローバリゼーションと言うのでしょうかね。



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マクロミルの萩原さんがフェイスブックで毎日アップデートされている中国でのコロナウイルスによる死者数のグラフです。
R2(決定係数)が0.9994とい見たこともない高い数値です。少し前には0.9999というフォーナインまでありました。中国がこうした予測式をもとに死者数を発表しているのではというジョークを信じたくなるような数値です。

初期対応がうまくなかったせいか日本でも患者数が急増しています。今日16日現在355人の感染者が確認されています。
タクシー、屋形船、クルーズ船など密閉空間での感染が多く、まだ広まりそうです。私はダイヤモンドプリンセスが停泊している大黒ふ頭から直線距離で4キロのところに住んでいるので先週から外に出るのを可能な限り控えるようになりました。神奈川県には感染症患者用の陰圧治療室は80床弱しかなくそれも一部屋2人を想定しているので実勢は30数人しか受け入れキャパはありません。大黒ふ頭からの搬送は最初の頃は市民病院の車でしたが、やがてみなと赤十字とか聖マリアンナとか記された車に替わり、先日は多治見病院の車をニュース映像で見ました。

報道によると免疫力の衰える老人から倒れるそうで、いくら外に出る機会の少ない引退老人でも外出時はマスク、外出後は手洗い、うがいが欠かせません。マスクは数年前PM2.5対策や噴火対策用にまとめ買いしたものがあるのですが、マスクは気休め程度とのことですし手洗いやうがいの方が効果がありそうなので買い揃えました。

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マスクや手指用のアルコール消毒液はどこにもなく、調理器具や食品の除菌用のエタノール53.4%のものを2本と普通の殺菌消毒ハンドソープ、うがい用にエタノールを26.9%含有しているオリジナルリステリンを買ってきました。消毒液はECサイトにありましたがとんでもない価格で売られていて、やっと妥当な値段のものを買いましたが翌日には完売になっていました。
我ながらあきらめの悪い老人だとは思いますが、これらの製品を使い切ることなくコロナウイルス肺炎が終息することを願うばかりです。




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来月3月の16日から野崎のコンビーフは缶を変えるという。昭和50年の新発売から70年続けてきたあのキリキリとねじを回すように開ける缶が消える。なんとなく寂しい気もするし、でもあれはいかにも時代を感じさせるレトロな感じだったから仕様変更も仕方ないかとも思う。もともとパッケージングは製品の保護が第一義で、その次に使用時の簡便性・機能性、そして店頭での競合品との識別性などが重要であり、野崎のコンビーフは簡便性・機能性という点では優れていたとは思えない。開けるのに手間がかかるし危険でもある。昔手を切ったこともある。開けた後もコンビーフを取り出しにくくフォークの力を借りなければならない。

製缶ライン設備の老朽化と設備更新に高額の投資が必要なことが仕様変更の理由らしいが、本家の米リビーは145年間も同じ「巻き取り鍵」方式を続けているのだからこの説明はどうも信用できない。
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新しい缶は「アルミック缶」というアルミ箔と樹脂フィルムを張り合わせたもので、利点としては開けやすく保存性も高いので賞味期限も3年から3年半に伸びるとのこと。外観は現在販売しているプラ80gや明治屋のコンビーフスマートカップによく似ている。消費者側から見た問題点は内容量が100グラムから80グラムへ減量されること。価格も410円から395円に下げると会社は言っているが、グラム単価は4.1円から4.94円へと20.4%も上がる。体のいい値上げではないか。会社側は調査をしたら「量が多い」「一人で食べるには少し多い」との意見があったので食べきりサイズにしたと言っているがこれも信用できない。自分がつまみにする時やチャーハンに入れる時に多いと思ったことは一度もない。老人でもそう感じるのだから若い人が100グラムが多すぎるとは思わないだろう。設備投資もしたのでこれを機会に値上げしちゃおうか、が本音ではなかろうか。


そう思うもう一つの理由が8年くらい前に買ったパッ缶式のコンビーフだ。
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誰もが馴染みのあるプルトップ缶詰で開けやすいし、内容量も75グラムと今度の変更とほぼ同じ。現在も野崎のHPに載っているし楽天市場などでも売られている。この缶でいいではないか。この製缶ラインを持っているのならば新たな投資も必要なかったのではなかろうか。賞味期限が半年伸びるのがそんなに重要なのか、それともあの箱枕そっくりの「枕缶」形状に会社としてすごい愛着があるのだろうか。好きな商品だけに変更のニュースを読んでそんなことを考えた。



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以前一度書いたが、消費税増税以降ステルス値上げというかこっそり内容量を少なくして値段を据え置く商品が目立つようになった。小麦粉の値上がりでビスケット、スナック菓子やパンが小さくなっているのがその一例。
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私は手が小さくゴルフ手袋は19センチで男性用はたいてい21センチからなので時々女性用を買うくらいの大きさだ。最近の食パンはトーストするとその手の中に納まるくらい小さい。まるでラスクみたい。6枚切りでは物足りなくて最近は時々5枚切りを買っている。一年半前に値上げがあったばかりなのにひどい仕打ちじゃないか。ネットでは小さくなった分カロリー表示も下がっていてそれで気づいたとの主婦のコメントもある。さすがの主婦視点だ。

輸入小麦の価格は政府売り渡しなのでメーカーはなんともできず、かつ毎日の必需品なので大きく価格を上げられないジレンマもあるだろう。物流費の値上がりもあり多分ほとんどの製パンメーカーはたいした利益は出ていないと思われし、ほとんどのメーカーは赤字だという人もいる。先日ネットの取り寄せで一斤1000円の食パンを4種類試したが、それらと比べて200円前後の食パンはよくできていると思う。この先利益を出すためにどんな手を打つのだろうか。

そんなことを考えながら毎週買うかりんとうを食べていて気が付いた。前と比べて細くなっている。おまけに以前より割れ欠けが随分多い。
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このメーカーは昨年春に値段据え置きで20グラム増量キャンペーンをしている。値上げの布石かと思っていたがまだ値段は変わっていない。多分値上げをする代わりに今まで撥ねていた割れかりんとうを少し多めに入れるようにしたのではなかろうか。今年に入って数回買っているが割れ欠け率は同じようだ。QCの基準が緩くなったと言えばそれまでだが味に変わりはない。また製品が細くなったのにも理由がありそうだ。かりんとうは一度でなく複数回揚げる。メーカーによっては油の温度を変えながら3∼4回揚げる。油が十分にしみこみ素材の味を引き出すためだ。割れた製品は味が染みているし、かりんとうを細くすれば火の通りがよくなり短い時間で揚げることが可能になる。時間と燃料費が節約できるはずだ。

メーカーの開発者やマーケターは消費者の財布の紐が堅くなる昨今いろんなことを考えているんでしょうね。食パンはかりんとうのようにはいかないかもしれないけれど、つぎにどんなことをするのか楽しみにスーパーの棚を見ることにしましょう。



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最初はすこし馬鹿にしていたが最近ではペイペイのヘビーユーザーになってしまった。「100億円あげちゃうキャンペーン」など知ってはいたが興味はなかった。きっかけはヤフーのプレミアム会員に振り込まれた1000円の残高付与。登録をし試しにOKストアで使ってみた。意外と簡単でおまけに1.5%の還元もあった。毎日行く近所の食品スーパーが5%のキャッシュレス還元店だったのが決定的だった。基本の1.5%と5%の計6.5%が戻ってくるし、5%+5%の10%還元の期間もあったし、20回に1回の確率で1000円還元も2度ほど当たった。7-11、ザ・ガーデンやトモズでも使えるので現金を使うことがほとんどなくなった。

月数千円の利用は2万、3万に増え、12月には5万を超え食材費の大半をペイペイで払うようになった。還元額も平均で8%強、数千円となる。先月はヤフーショッピングやペイペイモールの「25%還元!」に惹かれてゴルフクラブ等を購入したので利用額は13万になり、まんまと政府のキャッシュレス促進策に乗せられてしまっている。近所のスーパーでも主婦やサラリーマンの半数以上が会計をペイペイで済ませている。食品は消費税が据え置かれているので還元額分だけ家計や小遣いが助かるのが魅力なのだろう。

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問題は5%のキャッシュレス還元が6月末で終了した後ではなかろうか。キャンペーンが派手だっただけに5%還元終了後の魅力度のマイナスが目立つようになるだろう。当然ペイペイには切れ者がいるらしいので客離れが起きないようにイベントを考えるとは思うけど。店側にとっても現在はシステム利用料は無料だが、3年経つと支払いが生じる(2021年9月末まで無料)。多分クレジットカードと同じくらいの利用料になると考えられる。それ以降は扱い店拡大のペースは落ちるだろう。だからこそペイペイは昨年度367億円もの赤字を出しながら積極的に加盟店を増やし(現在185万店)来年10月からの手数料収入で累積損を一掃し黒字化を目論んでいる。派手なキャンペーンも巨大な赤字もソフトバンクとヤフーが親会社だからできることなのでしょう。昔街頭でモデムを無料配布していたのをつい思い出してしまった。昨日の報道では、キャッシュレス決済の草分けながら資金力の乏しいOrigamiは赤字に耐えきれず遂にメルペイに買収されることになってしまった。

メルペイによるOrigamiの買収だけでなく、メルカリはキャッシュレス決済でドコモとの提携を発表し、他社もポイント提携を進めている。ペイペイもLINEとの経営統合を予定している。両社で5000万人(多少の重複はあろうが)の登録者と圧倒的な利用店数で独走し続けるかもしれない。ただ今でもランチタイムのコンビニやスーパーではレジに行列ができ、QRコード決済は会計の待ち時間を長くしている。そのうち利便性と安全性に勝るスピーディな非接触型IC決済がもう一度見直されるような気がする。



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