英国のファイナンスサービス社の調査によると、幸福度は40代を底にして70歳近辺でピークを迎えるとのことです。歳はとるものの新しい趣味を見つけたり旅行に出かけたりと楽しみを見つけること、引退して仕事がらみの不満やストレスが減少することがその理由だそうです。
アメリカのダートマス大学の145か国の調査でも47~48歳を底にしてU字カーブを描き、82歳以上で最高値に達するとのことです。40代の幸福度が低いのは、アメリカでは失業や離婚・別居などが起こる可能性が高いからだと思われます。
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10年以上前の米国科学アカデミー紀要掲載の電話によるサンプル数30万以上の調査でも、同様に50代前半を底にするU字型を示しています。ロシアやドイツでの調査も同様にU字型をしているとのことです。米英の調査では18-21歳の若い層と60代半ば以上の層が幸福だと答える割合が高く、若年層はより良い将来を予想して今後の人生への期待値が高く、60代以上では肯定的な評価が齢とともに上昇していきます。この上昇は加齢により知恵が増すこと、高齢者は否定的な記憶より肯定的な記憶を思い出しやすいことなどが要因だろうと言われています。幸福度がU字型であるということは、今はちょっと辛いけれど将来の人生は期待できるという先行き楽観主義にもつながります。

翻って日本のデータを見てみると、少し古いが2008年の内閣府の国民生活選好度調査で、「U字型は米国では見られるが日本では見られない、日本では67歳を底にして79歳にかけて幸福度は殆ど高まらない横ばいのL字型である」と指摘しています。また大阪大学の調査「なぜあなたは不幸なのか」(n=4,206)によると、30代が最も幸福で、20代がそれに次ぐとのことです。40代以降は加齢とともに幸福度が下がり、60代が最も不幸であるとしています。歳をとるたびに幸福感が希薄になるなんて英米とまったく逆ではありませんか。
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50歳前後は親の介護、子育て、仕事の負担が増えるなど幸福度を下げる要素は確かにあります。しかし長寿国日本の老人を待っているのは本当に長くて暗い老後なのでしょうか。それでは堪らないと探し出したのがハーバード大学の幸福研究でした。今まで参考にした調査は幸せかどうかを質問し、その結果を年代グループ別にまとめたものでした。一方ハーバード大学の研究はコーホート分析と呼ばれる手法で、同じ対象者(10代の男性724人、ハーバード卒とボストン育ちの裕福ではない人たちの2グループ)を75年続けて調査し、家庭生活や健康などを継続して調べたものです。

結論としては健康的かつ幸せな人生を歩むために最も重要な要因は、金銭的な裕福さでも名声でもがむしゃらに働くことでもなく、良い人間関係を築けているかでした。たった一人でもいいから心から信頼できる人がいるかどうかが重要だそうです。家柄でも学歴でも職業でもなく、人間関係それも身近な人たちとの関係の質だというのは救われますね。

幸福という言葉の意味は時を経るにつれ変化する可能性があるので、年齢とともに幸福度が下がるとか、若者は高齢者より幸福であるとは簡単には言えそうもありませんが、幸福度に影響を与えるであろう三要素(3K)、健康、家計、家族を大切にして残された人生を楽しもうと思います(後期高齢者になってしまったので残された時間はそんなにはないけど)。



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