マーケティング爺のひとりごと

外資系7社でチューインガムから抗癌剤までのマーケティングを生業としていた引退老人です。使えそうなデータや分析、気になった出来事、思い出、日々思うことなどをボケ防止のため綴っています。にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ
にほんブログ村

2023年02月

ネットの時代と言われて久しい。老人はネットも利用するが使う範囲が限られていて、いまだにテレビがメディア接触の中で最も長い。博報堂の2022年データでも60代の男性は毎日2時間14分、女性は2時間37分テレビを見ている。4媒体にPCやスマホなどを加えたメディア接触時間の約半分がテレビに費やされている。最も安価な娯楽、手っ取り早い暇つぶしの代表格テレビの面目躍如である。(ここでも70才代は無視されているが今は文句は言わない)2022-08-24
日本人の平均メディア接触時間は451分で15年前より33%、1時間10分も伸びている。今週電通が2022年の総広告費を発表したが、7兆1千億円を超え史上最高額となった。かつて2007年に一度だけ7兆越えをしたがその後リーマンショックで激減し、回復しかけたらコロナでまた大きく下がった。史上最高とはいえ15年かけてやっと2007年レベルに戻ったということだ。その15年間でメディア接触時間が33%も伸びているにもかかわらずだ。広告は景気に敏感だからこれを見るだけでも日本経済の最近の不振ぶりが分かる。
2023-02-26 (3)
市場規模は回復したのだが、中身は15年前と大きく異なっている。15年前は市場の1割にも及ばなかったインターネット広告が、一昨年マス4媒体(TV、ラジオ、新聞、雑誌)を初めて抜き、昨年は14%伸長してその差をさらに拡げた。構成比で43.5対33.8と約10ポイントの差をつけている。一方の伝統メディアはラジオは対前年比で+2%伸びたが、新聞が‐3%、雑誌が‐7%と減少し、マス4媒体の75%を占めるTVが‐2%と縮んだことが差を拡げられた原因だ。老人はテレビ中心だが若者はスマホ中心でテレビ離れが顕著である。
2023-02-26 (1)
新卒で広告代理店で働き始めたとき広告費はGDP(当時はGNPを使っていたが)の1%だった。同様に1%だったものに防衛費とパチンコ産業があった。50年前は同じ規模だったが防衛費は6兆1千億円(2021年度)、広告費は7兆1千億円と伸び、GDP比1.1%と1.3%となっている。伸びているというのは正確ではないかも知れない。GDPが伸び悩んでいるが正解かも。その一方でパチンコ産業は衰退傾向とは言え14兆6千億円(2022年)と増加しGDP比でも2.6%まで上昇している。IT化とパチスロという新カテゴリーが加わったことも大きいが、広告だって日本経済が成長していれば50年間でこのくらい伸びていてもおかしくはないのだけれど。

インターネットは情報収集や調べ物には至極便利なのだが、広告が勝手に飛び込んできてうるさい(特にリスティング広告)。昔テレビはInvasive Media(勝手に広告が侵入してくるメディア)と言われたが、YouTubeやゲームでも冒頭部や途中で広告に中断されてイラっとさせられる。個人情報も勝手に収集されているようで気分もよくない。ま、先の短い老人の情報を抜いても使い道は老人ホームか墓地か葬儀場くらいなんだけどね。



ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

マンションの郵便受けにチラシが入っていた。管理組合が配布したと思われる横浜市資源循環局発行の「ごみと資源物の分け方・出し方」だ。古紙として出してはいけない紙類やリサイクルできない紙類一覧と並んで、様々なごみの分類が書かれている。ゴミの分類は燃やすごみ、燃えないゴミ、小さな金属類、古布、プラスチック製容器包装、スプレー缶、缶・びん・ペットボトル、古紙(段ボール)、古紙(雑誌・その他の紙)、古紙(紙パック)、乾電池、医療機関へ、と全部で12種類もある。
IMG_4817
IMG_4818
今まで燃えないゴミだと思っていたラップ、食品用保存袋、タッパー、プラスチック製のスプーンやストローが燃やすごみに区分されていて驚いた。ずっとリサイクルできるごみだと思って出していた。どおりで毎朝ゴミ置き場で管理事務所の人が燃えないゴミを確認しているわけだ。これではいけないとそれまで燃えるゴミ(家庭ごみ)とプラゴミの二種類用のゴミ箱を四分割のゴミ箱に変えた。これで燃やすごみ、プラスチック製包装容器、缶・びん・ペットボトル、その他用に分別できる。
IMG_4809
リデュース、リユース、リサイクルの3Rは守ろうと思うが12種もあると結構面倒で、毎回このチラシを読みながらのゴミ捨てになる。たしかこのマンションに引っ越してきた30年前は分別などなく、当時の横浜市長が「市の焼却炉は強力でなんでも燃やすことができる」と豪語していたと記憶している。それでマンションのダスターシュートになんでも放り込んでいた。本当は家庭ごみにプラスティックゴミが多少混じっていた方が燃焼温度が上がり燃費の節約になると聞いたことがある。いまではゴミ置き場は、家庭ごみ、プラゴミ、発泡スチロール、スプレー缶、乾電池、燃えないゴミ、金属類、可燃ごみ、電球などの置場があり、粗大ごみやリサイクルごみ(段ボールや新聞などの資源ごみ)置場も別に設置されている。今朝もゴミ置き場で管理事務所のおじさんの「ちゃんと分別してるかい?」的な視線を感じながら我が家のゴミ捨て担当はゴミを捨てました。

横浜だけが厳格なんだろうか。神戸に住んでいる時はなんでも捨てられて、横浜に引っ越すときには不要になったベッドのマットレスを夫婦二人で担いでゴミ置き場に運んでエイヤッと投げ捨てたが、さっき調べたら今は神戸でもマットレスは粗大ごみ扱いで処理手数料として3千円かかることになっていた。時代だな。今月はリフォームしたので何点もの家具や電化製品、運動器具を粗大ごみで出した老人は、これからはリデュース(モノを減らす)生活を心がけて暮らそうと思った次第です。



ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

団塊の世代は諸悪の根源のように言われることが多い。曰く2007年問題、2015年問題や2025年問題。曰く「終電に間に合った世代」。曰く「最後の食い逃げ世代」。曰く「付加価値を生まなかった世代」などいろいろだ。
e3bbdbb872f6319b8f0a42cb1a0a2863
2007年問題とは、団塊世代が60歳となり一斉に退職して労働力不足やスキル流出などの社会的問題になると言われた。それを回避する目的で2006年に改正高齢者雇用安定法ができ65歳まで継続雇用を促進されるようになった(団塊世代のおかげでいいこともあるじゃないか)。その他にも団塊世代の退職金が投資市場に流れ込むという説もあったが大半は貯蓄に回って投資には予想ほどは行かなかった(私は投資してリーマンショックで退職金の半分を失ったが)。

2015年問題とは、団塊世代のすべてが65歳以上となり年金を全額受け取るようになる。労働人口の減少だけでなく年金給付人口の急増で年金財政への圧迫が懸念された。現に年金財政はさらに悪化し、支給年齢の引き上げや現役世代の負担増として今も残されている。この辺りから団塊悪者説が増えてきたように思う。

2025年問題とは、団塊世代のすべてが後期高齢者となり、かつほとんどが1割負担で日本の医療費(約45兆円)の4割を使うようになり(75歳未満が年間22万円の医療費なのに対し、75歳以上は94万円を使う)医療費および社会保障費の増大と負担増を招く。同時に医師や看護師不足も予測され、介護される人口も増えるため介護する人が足りなくなり、高齢者介護施設も不足する。日本が真の超高齢化社会に突入する年といってもよい。

著名なブロガーちきりん氏が20年近く前に書いた「終電が出る時刻」という記事が記憶に残っている。50歳以上が有権者の5割を超える時を指すそうで、この時を境に財政改革ができなくなるという。半数以上が給付を受ける側になると、自分たちへの給付を厚くしてほしいと思うので抜本的な年金や医療改革ができなくなるらしい。イギリスは2040年くらいに終電が出るらしいが、日本は2005年に終電は出てしまった。老人国家である。ちきりん氏は団塊世代とは言っていないが20年前の50歳以上に団塊が占める比率は高いので私は勝手に団塊世代と読み替えている。確かに現役時代は右肩上がりの時代だったし、多少の減額はあるが年金は払い込んだ(労使折半だから半分しか払っていないが)以上に受け取っている。「食い逃げ世代」と呼ばれても大した反論はできない。

その他にも、その前の世代が達成した高度成長にただ乗りしただけで何も付加価値を生んでいない、数を頼んで多数決社会を牛耳る老害集団、せっかち、やたら競いたがる、企業で威張り散らしてた、日本を駄目にしたなどの罵詈雑言だらけ。分からんではないが団塊の一人として言わせてもらえば、望んでこの時期に生まれたのではない。前年より100万人も多い出生数で「死ぬまで競争だ!」と言われて育ち、進学も、就職も、結婚も、出世も競争は熾烈だった。70代半ばになって多少楽をさせてもらって当然じゃないのか。オイルショックやバブル崩壊など悪いことも経験している。いいことばかりじゃなかったのだよ。

冒頭の写真は今年の1月5日に掲載された宝島社の企業広告です(中尾ミエは団塊世代の一年前なんですけどね)。「かつてこんなに疎まれながら、たくましく生きてきた世代があっただろうか」とコピーにあるが、たくましく生きなければならなかったのも事実だ。宝島社は2006年にも「団塊は資源です」というオマージュ広告を打っている。団塊はエネルギー、しぶといエネルギー、きっと団塊は死ぬまで退場しない、などと多少買いかぶりすぎの表現だが一部は当たっている。

若者たちよ、もうちょっと待ってね。20年したらみんな居なくなるからね。

(2006年のコピーは下記で見られます)
https://tkj.jp/koukoku/2006/image.html



ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

以前にも書いたことがあるのだが、ここにきてフェイスブックの凋落ぶりが酷い。実使用者数を表すアクティブユーザーは2015年をピークに下がっているし、ユニークユーザー(重複を除いたユーザー数)も下がり続けている。昨年2022年のUUランキングでは辛うじてアプリのベスト10に入っているが、前年比でマイナスなのはフェイスブックだけである。三年連続でマイナスということはいまだに縮み続けているということだ。年齢別にみると60代では二年連続で二けた成長だが、20代では三年続けて15%減少だ。
325501133_506317944969613_8793327397438710000_n
フェイスブックはSNSの中でも老人率が最も高いと言われているが、マクロミルが毎年新成人に対して行っている調査でもその弱体化は目を覆いたくなるほどである。10年前はLINEやTwitterと並んでいたのが既にインスタや新興のTikTokにも抜かれてしまった。新成人の使用率は1割を切っている。もうフェイスブックは中高年と老人のためのSNSと呼んでもいいくらいだ。その老人も最近はインスタ慣れが始まり、長文を書かなくても写真でコミュニケーションがとれるインスタが重宝されている。この頃のスマホのカメラ機能はすごく進歩しているしね。このままではフェイスブックはMIXIのようになることだってありうるかもしれない。
324705290_1135394337178637_6023598951488990717_n
それにしてもLINEの伸長はすごい。日本特有なのだろうが最近はグループ仲間の連絡はほとんどLINEで行われている。私もゴルフ仲間や学生時代の知人とはLINEでコミュニケーションをとる。遠くに住んでいる家族や親戚、友人との連絡もLINEだ。無料で電話もできるし。

フェイスブックと同じMetaグループのインスタも便利ではあるが、高齢者の一人としてはフェイスブックにもうちょっと頑張ってもらいたい。十数年使っていて使い慣れているし、いくつかのグループの管理人もしている。生存確認にも使えるし、訃報を告知・シェアするのにも重宝だ。ここ何年かで知人の逝去の報に接したが、その内の4人はフェイスブック経由だった。(いまだにその4人が友達リストに残っているのを見るのは辛いけど)

SNSの浸透ぶりはすごいなと思っていたらマクロミルの萩原さんが日経の郵送調査をまとめてくれていた。最近の調査はネット調査がほとんどなのでSNSへの関心度や利用度が高く出るのは当然でバイアスありと考えた方がよい(当然郵送調査にもバイアスはあるが)。日経の読者層は年齢が高そうなので単純には比較できないかもしれないが、LINEの利用率が66%でインスタが37%は妥当な数字のように見える。フェイスブックは31%だが「利用したことがある」が25%と他のSNSと比べて高く、ライトユーザーや過去ユーザーが多いように思われる。327058315_727663208723214_6500917639380833664_n
一般的にライトユーザーや過去ユーザーが多い製品やサービスはブランド力が弱い、または峠を過ぎたと考えられる。数字だけを見ているとフェイスブックはそれに当てはまるような気がする。コロナ禍で自宅にとどまる時間が増えたシニア層がアプリ利用に目覚めて老人の利用は増えているが、若者の参入ができていないので長期的には衰退だろう。少子化対策同様の「異次元の若年層取り込み対策」でもしない限り衰退の一途をたどりそうだ。



ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。

↑このページのトップヘ