マーケティング爺のひとりごと

外資系7社でチューインガムから抗癌剤までのマーケティングを生業としていた引退老人です。使えそうなデータや分析、気になった出来事、思い出、日々思うことなどをボケ防止のため綴っています。にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ
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2023年08月

やっと暑い八月が終わった。九月もしばらくは暑さが続くと気象予報士は言っているが、八月ほどではないだろう。そこそこ長く生きているが、こんなに暑い夏は初めてだった。ヨーロッパの古気象学者がこの七月の地球の平均気温が12万年ぶりの最高気温を記録したと言ったが、八月はもっと暑かったように思われる。地球が壊れかけている、そんな感じがする。
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地球温暖化と言われて久しいが、上のグラフが示すように過去40年と比べても今年は世界中が暑かった。2003年にヨーロッパでは熱波で2万2千人が亡くなったと報道されたが、昨年が1万5千人なので南欧の主要都市で軒並み40度を記録した今年は2003年並みかそれ以上の犠牲者が出るものと思われる。(昔は熱中症などという言葉が一般的ではなかったので「熱波」と言っていたのですね。)

化石燃料使用による温室効果ガスの増加による気温上昇、それによる北極の氷面積の減少による太陽光反射量低下による気温上昇、海面温度の上昇などが最近の異常気象、山火事、海面上昇を起こしていると言われる。確かに気温と同様に海面温度も今年は過去と比べて異常に高い。暑いわけだ。
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小学生の頃日本の最高気温は1933年に山形で記録された40.8度と習った。たまたまフェーン現象によって起きたその記録が永遠に維持されるかと思っていたら2007年に破られ、それ以降埼玉、高知、岐阜、静岡で41度台が続出した。少年時代を過ごした名古屋も夏の暑さで有名だったが、それでも当時耐えられないと感じた暑さは33度くらいだった。41度なんて中近東かアフリカでしか経験できないだろうと思っていたからショックだった。東京都の青梅市でも2018年に40.8度を記録している。予想もしなかった灼熱地獄だ。30度以上の真夏日、35度以上の猛暑日は当たり前になり、40度以上の酷暑日が東北地方でも記録されるようになった。

なので、この夏老人は必要最小限の外出にとどめ室内にいることが増えた。エアコンをつけっぱなしにすることになるのだが、そこに電気代の値上げが襲ってきた。数年前に東京ガスの「もらえる電気」に切り替えた我が家には政府の補助金は適用されない。十数年ぶりにエアコン三台を買い替えたので少しはセーブできているのだが電気代を気にしながら暮らしていると体に良くない。結局八月はほぼフル稼働になった。来月の請求書が怖い。
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また、この七月は東京都心の夜の最低気温は25度を下回ることが一度もなかった。ずっと熱帯夜だった。マンションは戸建てより温度保持能力が高い。かつ私の部屋は南と西に窓があり冬は暖かいが夏は地獄だ。エアコンをつけない、もしくはタイマーが切れると遮光カーテンを使っていても起きたときの室温は33度になることもある。熱中症で緊急搬送されるのはまっぴらだから、今日から九月だけどエアコンをつけっぱなしにしてベッドに入ることにしよう。


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JR東海が新幹線の車内ワゴン販売を2023年10月末をもって終了すると発表した。グリーン車の乗客は座席にあるQRコードを自分のモバイル端末で読み取って食事や飲料を注文するとパーサーが席まで届けるというサービスを提供するようだが、大半を占める普通車の乗客には車内サービスはなくなる。出張中に車内で飲んでひと息ついたホットコーヒーも、帰途に楽しみにしていたあのガチガチに固いアイスクリームももう味わえなくなる。

東海道新幹線は東京オリンピックがあった1964年に開通した。その年に名古屋から東京まで父親(勤務していた会社が新幹線のレールを製造・納入していた)と一緒に乗り片道3時間かかったが(大阪・東京間は4時間)、それまで乗っていた急行列車とは全てにおいて大きな違いだった。乗車時間が短いため食堂車はなく、広軌車両を利用して富士山側にビュフェ付きの車両がついていた。1975年に新幹線が博多まで伸びるのと同時に食堂車が連結されるようになった。
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サラリーマンになってから忙しかったことと金がなかったこともあり、実家に帰る時はたいていは自由席に飛び乗った。満席の時は乗車後真っ先に食堂車に行き(同じことを考える人が多くてすぐ満席になった)、混雑が減る静岡あたりまで粘るのが常だった。当時の人気メニューはハンバーグステーキ定食の1000円だったが、いつも500円のカレーライスを食べ、ウェイトレスが皿を下げながら早く退席しろ的な目をすると200円のコーヒーを追加注文し煙草を吸いながら時間を稼いだ。席は当然いつも相席だった。
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やがて高速化が進み乗車時間が短くなると利用者が減り、座席数を増やしたい国鉄(JR)の意向もあってか食堂車が減り始め、お土産を売る売店の横に立ち食い立ち飲みのカウンター席を設けたビュフェ車が一般的になってきた。ビュフェ車は調理場がなく提供するのはレンチン食だけだったのでさらに客数は減少した。2000年にすべての食堂車の営業運転は終了し、車内で食事や飲み物を手に入れられる唯一の手段だったワゴン販売までこの秋に終了してしまう。
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確かに乗車前にコンビニや駅売店で弁当やお茶、ビールを買うことはできる。ただワゴンだと各地の弁当を買う楽しみもある。昔なら窓を開けて駅弁を買うこともできたし、新幹線でも後続列車の通過待ちの間にホーム売店に走って地元の駅弁も買えた。外国には(移動時間が長いせいもあるが)立派な食堂車がありレストラン並みの食事が楽しめる列車が数多くある。日本にもチケットが入手困難で何十万円もする豪華列車には立派な食堂車がある。いくら数時間の旅とはいえ、普通の旅行者が景色を見ながら温かい食事が楽しめた食堂車がなつかしい。あれも一種の文化なのにね。


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働いていた飲料会社が事業売却されて解散し50歳で失業し、しばらく無職だった。4か月のハローワーク通いの後、神戸の製薬会社に採用された。ポートアイランド(地元の人はポーアイと呼ぶ)のマンションに住みはじめ、家財道具一式を三宮のダイエーで全て揃えた。到着したテレビの電源を入れた瞬間に衝撃的なCMが飛び込んだ。「551の豚まんがある時 ない時」。知らない女性タレントとおっさんが出ていた。その昔広告代理店に在職して多少は広告にはうるさい。こんな洗練されていない広告が県域U局のサンテレビでなく、関西キー局から流れている。ショックだった。

その後会社の仲間からあの女性タレントが関西では少しは有名な吉本芸人だと聞いた。ボヨヨ~ンのかつみ・さゆりも神戸に来て初めて知った。カルチャーショックを感じた。会社の近所にそごう(現神戸阪急)があり、地下に蓬莱の売店があった。いつも行列ができていて、並んでまで肉まんを買う気にはならなかった。当時は家族が海外にいて単身赴任だったので時々夕食を買うためにそごうには寄っていた。ある日行列が短かったので初めて肉まんを買った。こっちでは豚まんと言わないと通じないと知った。
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家に帰って食べたら、これがまたショックだった。うまい! 味はシンプルで関東の肉まんより薄味だがしっかりしている。またたくまに食べきってしまった。これが関東に来たら横浜の中華街でつぶれる店が出るのではなかろうかと思った。年に数回出張や帰省で東京や横浜に戻る時、新幹線の車両の中にかならず1人は蓬莱の紙袋を持っている人を見かけた。以前は気が付かなかったが関東にもファンが多いのだろう。時々あの匂いが漏れて車内に漂うこともあった。
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もともと蓬莱は終戦直後の1945年に大阪難波で台湾人羅邦強が仲間と開いた蓬莱食堂が起源だ。カレーが売りの人気店だったが復興が進むにつれて客足が減少し、その打開策として開発されたのが豚まんだった。当時神戸で人気のあった豚饅頭を参考に、豚肉と玉ねぎをたっぷり使って大ぶりの饅頭に仕上げた。これを「豚まん」と命名して売り出したら人気が出た。その後1952年に店頭で実演販売を開始するとテイクアウト客が一気に増えた。

ヒットの裏には日本人向けにアレンジした味、ひとつでおなかが膨れる、歩きながら食べられるなどの商品特性もあるが、持ち帰り客に箱代を負担させない、百貨店の地下や主要駅の構内にテイクアウト専門店を展開など羅のアイデアが反映されている。製品ラインを拡げ、商圏も大阪から関西一円に広げて関西人ならだれでも知っている商品に育てあげた。

マーケターとして感心するのは製品の味を担保するため工場から150分以上かかるエリアには出荷しないという選択だ。豚まんは発酵食品なので遠隔地への長時間輸送では発酵の管理ができないことが理由とのこと。横浜中華街の名店が東京に店を出したときに、味が違うと思ったことがある。味の均一性を保証できないのであればやたら拡大するべきではない。エリアに留まっていれば一種の希少性、ありがたみも生まれる。全国展開しかけた崎陽軒が横浜に再集中してブランドを強化したのに似ている。
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しかし有名になれば地方の客から食べたいのリクエストはでる。1994年に蓬莱は全国への通信販売を開始した。チルド技術によって5日間の味の保証が可能になったからだ。その他にも全国のデパートでの実演販売もスタートさせている。我が家の近所の横浜そごうにも年に一回だが出店する。1時間待ちになるが長い行列に並ぶこともある。豚まんの入った白地に赤で「551HORAI」と書かれた手提げ袋を提げて家に帰る時、なんだか妙な達成感と幸せな気分になるのは私だけだろうか。


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日本のメーカーのパッケージ変更での失敗例です。
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キリンレモンは子供っぽいイメージを大人っぽいイメージに変化させようと佐藤可士和デザインのボトルに変えましたが(左から2番目のボトルです)、酒のような印象を与えて売り上げが激減し、高校生に依頼するなどして元のデザインに近いパッケージに再度変更をしました。その後90周年を記念して会社の象徴である麒麟を加え20代~30代をターゲットにしてリニューアルしたものが右端のボトルです。
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森永の「ウィダーinゼリー」は発売20年を機にそれまでの「マルチビタミン」や「プロテイン」などの機能性訴求から「エネルギー」、「カロリーハーフ」などのカロリー別の商品展開に切り替え、パッケージも英語を多用したものに変更しました。しかしそれまで培ってきた「10秒チャージ」や「ビタミン簡単摂取」などの製品コンセプトが伝わらなくなり、10%の売り上げダウンに見舞われました。やむなく4か月後に「マルチビタミン」などの機能性重視の名称に戻し、パッケージも再刷新して巻き返しを狙いました。それでも以前の販売量に戻るには2年近くかかったとのことです。

残念なことにこの二つのデザインとも佐藤可士和の作です。デザインとしては斬新かもしれませんが、変化が大きすぎてそれまでのユーザーに受け入れられなければ失敗になってしまいます。有名なデザイナーに頼めば大丈夫、とはいかないようです。


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パッケージを変更してうまくいくこともあればそうでないこともあります。下記の二例はパッケージデザインやロゴを大幅に変更したものの、不評ですぐに元に戻した例です。
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長年使われてきたおなじみのトロピカーナのブランドロゴ、ストローが刺さったオレンジ、NO PULP(果肉なし)表示を大胆に変更し、ロゴのフォントを変え、かつ縦書きにし、オレンジのイラストをカットして果汁の入ったグラスに変更し、商品説明も大幅に省略した新しいパッケージに変えました。しかし消費者からの苦情が多く寄せられ売り上げが20%下がったため、数か月後に戻のパッケージに戻すこととなりました。
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これもおなじみのGAPのロゴです。極めてシンプルな紺地にブランド名の白抜きです。これを白地に黒の文字に変え、フォントも変更し、かつ小文字を用い右肩には紺の四角を加えました。導入後クレームが寄せられわずか6日後に使用を中止して以前のロゴに戻しました。変更と再変更、回収などで巨額の損失を出したとのことです。

デザインのシンプル化はパッケージ変更の際の有効な方法ではありますが、長年使われてきて製品と一体化したイメージを消費者に持たれている場合は、消費者の違和感や失望を招くこともあります。上記二例も当然事前に消費者調査を実施しているとは思うのですが、現ユーザーの思い入れまではとらえられなかったのかもしれません。


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パッケージデザインの変更は菓子や飲料だけでなく他のカテゴリーでもよく行われています。

昭和産業のオレインリッチはピュアなひまわり油であることを強調するために、白地から黄色に変えひまわりの絵を前面に出しました。ボトルの形も変え、キャップシール上のフレーズも「オレイン酸たっぷり」から「あっさりおいしい」に変更、同時にブランド名と「コレステロールゼロ」の表示も小さくしました。非常に大幅な思い切った変更だと思います。パッケージ変更後の売り上げは3割増となりました。
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三和酒類の「いいちこ」は長年使ってきた「下町のナポレオン」を捨て、紙パックから透明なガラスボトルに変更しました。これも大胆な変化です。発売後CMも一新し売り上げは150倍となり、日本蒸留酒ランキングで第一位、世界蒸留酒の第三位の製品となりました。
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JAうごの「あきたこまち」は和服姿の秋田美人の写真と大きな製品名を、イラストレーター西又葵の美少女イラストに変更し、発売後一ヵ月でそれまでの2年分を売り上げました。主婦が購入者であるお米のパッケージとしては異色です。この成功を基に味噌、シチュー、カレーにもこの路線を展開中です。
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これらの3例もシンプル化、消費者があまり気にしない情報の削除、現代的なグラフィックや容器の変更など大胆な変化が成功の要因だと思われます。捨てる勇気も必要ということでしょうか。



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発売された製品がいつもうまくいくとは限りません。製品改良をしたり、広告コピーを直したり、広告量を増やしたりが一般的ですが、パッケージデザインを変更するのも一つの方法です。いくつかの成功例をご紹介します。
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昨年大幅なリニューアルをした高カカオチョコレートの代表格である明治のザ・チョコレートは2016年に発売されました。販売は思ったほどでもなく担当(女性)は思い切ったパッケージ変更を企画しました。カカオ豆をフィーチャーしたデザインからロゴのTHEを強調したシンプルなデザインに変え、同時に形状も正方形から長方形に変えました。社内会議では上司から「このデザインでは売れない」と散々だったのですが、発売すると販売計画の倍を売り上げるヒットとなりました。
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ココナツサブレは発売後50年ぶりにパッケージデザインを変更しました。外から中身が見えるようにするのと、同時に5枚ずつの分包も実施しました。購買層・ユーザーが高年齢化していたのを若返らせるためにプロモーションとしてエビ中パッケージも作成し若年層の取り込みにも成功し売り上げ増につなげました。
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東ハトのキャラメルコーンは英語のブランドロゴ、コーンのイラスト、製品の写真をシンプルにし、日本語のロゴと「遺伝子組み換えコーン不使用」表示を省き、空いた上部スペースに目玉と鼻をユーモラスに加えるという思い切ったパッケージ変更を一気に行いました。この変更で販売量は3割上がったそうです。

上記の3ブランドに共通しているのは、デザインのシンプル化です。とかく新発売時にはあれもこれも加えたがる傾向があり、グラフィックもコピーも重くなります。ビジーになって店頭で目立たないことも多く、シンプルにすることでアピール度が上がったのだと思います。


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企業が今まで世の中に存在しなかった全くの新製品(新カテゴリー)を発売することは稀です。多くの新製品は既に類似品が発売されている市場に投入される「me-too」と呼ばれる後発品です。後発品を世に送るときに考慮すべきポイントを考えてみましょう。
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まず考えられるのは、先行品にない付加価値を付け加える。新しい技術、成分や製法を消費者に分かるように伝える。新しい味やフレーバーも有効です。お掃除ロボットiRobottを追いかけた国産メーカーがコーナー用のブラシを付けたり形を三角にしたのはこの例ですね。

先行品が既にどのような製品なのかを消費者に示しているのですからこれを利用しない手はありません。先行品を否定するのではなく、先行品のやり方に乗っかる方が賢明です。中華のCook Doに対し「うちのごはん」は醤油ベースの和で参入、今度はそれに対抗してCook Doが「きょうの大皿」を発売したのはこれに近いかもしれません。

同じブランドでもターゲットを変える方法もあります。これはラインエクステンション品ですが、カップヌードルライトは女性に訴求するため麺を短くし(音を立ててすすらなくてよい)カロリーも198に抑えて市場に出ました。

製品そのものに付加価値がつけにくい場合は、その道の権威やセレブリティをエンドーサーとして使う手があります。

先行品が使っていないパッケージ容器や包装形態で市場に参入する。例えば先行のボトルや缶に対してパウチで発売するとか。

先行品との区別がつきやすく、製品特徴が分かりやすく覚えやすいネーミングを用いる。

自社が持つアセットを利用するために社名、親ブランド、ラインエクステンションを使うのは認知を獲得するための投資が少なくて済む。

性能面で先行品と差がつけられなければ、価格ベネフィットを訴求することも考える。または同額で内容量を増量する。安売りしたくなければ、先行品とは異なる内容量で価格も変え、価格の直接比較を回避する。味の素がキューピーの寡占状態だったマヨネーズ市場に参入する時に小さめのサイズと値段で入りました。消費者はスーパーの棚の前でグラム単価を計算しないので価格差はあいまいなまま購入することになりました。当時はプライスカードに100g当たりの価格なんてなかったのです。


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トライアル(初回購入)はある程度のブランド認知率と取扱店率があれば獲得できます。大事なのはどうやって新規客をリピーター、ロイヤルユーザーにするかです。安定した販売と利益を維持、伸長させるためにはリピーターは欠かせない存在です。
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飽きやすいユーザーを満足させ続けるにはメーカーも努力を続けねばなりません。長期間にわたり同じ製品や同じ品質で売り上げを増加す続けることはできません。ブランド価値を上げるため日々のKAIZEN が必要です。品質だけでなく安全性を高める、不良品率を下げる、見た目を時代に合ったものにする、効率化により製造コストを下げそれを原資として品質改善に充てる、などが必要です。

顧客を正当に扱うことも必要です。かつて1983年にコカ・コーラが、1996年にキリンビールがこれで失敗しました。大規模な消費者調査や味覚調査はしたのですが、突然味を変えられたら何十年とその製品を飲んできた消費者は「これは俺のコークではない」「ラガーじゃない」と落胆したに違いありません。

顧客の購入や使用実態を調査することは重要ですが、使っている理由や満足している理由ばかり着ていては本当の事情は分かりません。美味しいからとかいつもこのブランドだからなど無難な回答が返ってきます。なぜ使用をやめたのか継続しないのかの問いに対しての方が消費者は正直な答えをくれます。そしてその原因を取り除く努力をすべきです。

スイッチングコストを創出して顧客を引き留めるのもロイヤルティ維持に有効です。スイッチングコストとは今まで使ってきたり買ってきた製品やサービスを止めることによって発生するコストのことです。企業が会社のコンピュータシステムを変更すれば大きなコストが発生します。個人でもいつも使っている航空会社や携帯電話を切り替えると、それまで貯めていたポイントやマイルが使えなくなります。
会員制クラブやメンバーシップもスイッチングコストと同様に顧客を逃がさない方法です。



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競合と比べた場合に明確な機能的な差があったり、数値化できるデータがあれば優位性の立証は楽なのですが、いつも機能面での優位差やデータがあるとは限りません。技術が進んだ現在ではよくあることですが、メーカー間の開発力の差は少なくなりつつあり、機能的な差があまりないケースが多くなりました。そんな時は差を創り出すしかありません。製品に大きな手を加えずに付加価値を加えて「差」を産み出すのです。
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方法としては、新用途の提案、新市場への位置づけ、新ユーザーへの訴求、使用を阻害している原因を取り除く、パッケージや容器の改良、先取戦略などです。

新しい用途の提案例としては、焼き肉のたれを焼き肉以外に使うよう勧めるCMがありますし、古くは風邪をひいたとき胸に塗って呼吸を楽にする薬だったヴェポラブをこめかみに塗って頭痛に効くと宣伝していたことがあります。

新ユーザー獲得例としては、J&Jのベビーオイルはその名の通り赤ん坊用のオイルでしたが、赤ちゃんの敏感な肌に良いのなら若い女性にも良いに違いないとターゲットを拡げて成功しました。龍角散の老人用飲み込み補助ゼリーを子供用の「お薬のめたね」への転用例もあります。

使用を阻害する原因除去例としては、シャンプーの使い過ぎは髪と肌を傷めると考える人が多かった頃に、そんなことはないとメッセージを送った結果、朝シャンと夜の二回シャンプーをする女性が増えました。

パッケージの改良例は、シャンプーやリンスのパッケージをポンプ式にすることで一回当たりの使用量が増えた例が有名ですし、古くは味の素がボトルの穴を大きくし使用量と売り上げが上がり提案者が社長賞をもらった例があります。その他にもガラスからプラボトルへ、そして中身の見えるよう縦に透明部分を作る、キャップがメジャーになるなどの改善例があります。

先取り戦略というのは、どの会社もやっていることをさも自社だけがやっているように見せることです。かつてアサヒビールが「製造後三日以内に店頭へ」のキャンペーンを打っていた時期がありますが、どのメーカーも同じことをしていますが、広告を見た消費者はスーパードライだけが製造後すぐ出荷していると思ったでしょう。ドモホルンリンクルは「毎日4時間機械を止めて分解掃除」とCMで言っていましたが、どの工場でもラインの切り替えや清掃のため機械を止めて掃除をするのは日課です。富山常備薬は「一般医薬品承認基準内最大量を配合」と謳いますが、同じカテゴリーの競合品も同じ成分を同じだけ配合しています。承認基準の最大量を入れるのは通例ですが、一社だけがそれを訴えるとその製品だけが効き目が強いように消費者は思ってしまいます。これらの会社はあまりに当たり前でCMで言うようなことではないが言ったもの勝ちと思っているのでしょう。消費者は馬鹿にされています。

ネーミングの成功例は、2004年に「ネピア モイスチャーティッシュ」から「鼻セレブ」に変えたことで売り上げが10倍になった例が有名ですね。


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広告メッセージを消費者に認知・記憶してもらうためには対競合の差別化ポイントや治験などのエビデンスが有効ですが、そうしたものを見つけたり作成するのが困難なこともあります。そんな時に使えそうなのがEEEFASです。
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EEEFASとはExperience、Expert Opinions、Examples、Facts、Analogies、Statisticsの頭文字をとって並べたものです。

Experience
客観的なエビデンスや量的調査などのデータがない時に、一例でも二例でもよいので個人の実体験に基づいた意見や感想が有効なことはよくあります。

Expert Opinions
市井の一個人の経験に基づいた意見も効果はありますが、その道の専門家の意見であればさらに説得力が増します。学者や研究者、大学教授など権威の意見や、彼らが書いた書物や発表された文献なども含みます。

Examples
当該製品、類似製品や同じ成分が入って製品のパフォーマンスや、効果の発現例があれば援用できます。他の国の事例なども参考にできます。

Facts
過去に起きた事例や使用例などは実際にあったことなので説得力に富みます。

Analogies
直接飲用できるデータや同種の製品がない場合は、類似の製品の効能効果例を引用したり、それらの結果から当該製品への効果の類推をします。

Statistics
官公庁統計、調査結果、治験や実験の結果など数字で示されると信じられる確率が上がります。


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毎日テレビで、ネットで大量の情報が流れています。情報の洪水の中で記憶に残り、ブランドやメッセージの認知を上げるためには、何らかの策を講じなければいけません。よく用いられている方法には下記のようなものがあります。
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競合製品との有意な差を憶えやすい表現で表す。
M&M'sのチョコレートがこの典型例でしょうか。糖衣のため夏でも溶けて柔らかくならない利点を「お口で溶けて手で溶けない」と謳っています。海外では「Melts in your mouth, not in your hands」ですね。

憶えやすくするためにスローガンやジングルを利用する。
インテルのチップを使ったPCには「Intel inside」と頭韻を踏んだラベルが貼ってあります。日本版は「インテル入ってる」と脚韻を踏んだ表現で広告でも使っています。
アート引越センターやニトリのサウンドロゴは一度聴いたら憶えてしまいますよね。

視覚に訴えて記憶を強化する。
KFCのカーネル・サンダースおじさん、不二家のペコちゃん、ナイキのスウォッシュ、アップルの齧りかけのリンゴなど憶えやすく、製品との結びつきが強固です。

その他では会社の知名度が高い企業がよく使う「二階建てブランド」です。あの会社の製品ならの安心感で差別化を狙っています。「大正漢方胃腸薬」なんて典型ですね。漢方胃腸薬は何種類もありますが大正がついていることの信頼感。三菱パジェロもそうでしたが、この手法はブランド売買が一般的でない日本独特の手法ですね。


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企業やブランドの認知、イメージ、製品特徴、競合製品との差別点などは企業が発する広告や広報などのメッセージが重要な役割を果たしています。メッセージが送られてから製品が使用されるまでのフローをまとめてみました。
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企業がマスメディア、WEBや店頭広告などで配布したメッセージは視聴者、読者に届けられます。届いたメッセージは100%見られたり読まれたりするわけではありません。企業からのメッセージに注目する人はそんなに多くはありません。その注目した人の何割かが認知をし記憶してくれます。しかし記憶はしたものの製品やサービスに好意を抱き、態度変容する人はわずかです。態度変容したものの製品を購入して試用する人はさらにわずかとなります。試用した人が使用後に製品の評価をし気に入ってくれれば再使用者となりリピーターやロイヤルユーザーになってくれる可能性が残ります。

このメッセージの流れの中で最も重要なポイントは「認知・記憶」です。広告を見ても認知され記憶されないと店頭でその製品を見ても購入につながる確率は下がります。いくら大量の広告を流しても認知・記憶につながらないと無駄打ちになります。逆にわずかな量の広告やPRでも論理的または情緒的エビデンスがあったり、対競合差別化ポイントや消費者ベネフィットが明確に伝わるメッセージであれば、認知が容易になり記憶される確率がグンと上がります。

東京では毎日約3000本のテレビコマーシャルが流れます。情報の洪水の中で、製品の明確な対競合差別化ポイントを、インパクトがある記憶されやすいメッセージに転換して、繰り返し発信し続けることが態度変容につながることになります。


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競合製品と有意な差を持つポジションを見つけるのは容易ではありません。市場と競合の分析をし、競争の少ない戦場を探し出すことは非常に重要です。「敵のいない、または少ないところで戦う」ことが最強の戦術であることを忘れないでください。そのためにヒントをいくつか紹介します。
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最近チョコザップの成功で不振から抜け出しかけているライザップは、もとはダイエット・スクールで成功した会社です。競合との違いは、専属のトレーナーが一対一で個室で(廻りの視線を気にしないでできる)トレーニングをし、かつ毎日スマートフォンで毎食の内容を写真で送らせ食事のアドバイスまでするフォローの良さと、痩せない場合は全額返金するというメソッドで成功を収めました。ダイエットは多くの人が始めるものの、ほとんどが途中で挫折します。そうしないように生徒を追い込んで最後まで面倒を見るという「三日坊主にしない」方法で差別化したのです。後発組が市場と競合を分析し、競合がやらない方法で新しいいポジショニングを見つけた例です。このビジネスモデルを英会話やゴルフレッスンに拡大中です。

製品でなくユーザーの違いで競合と差別化する方法もあります。ミラービールはかつて労働者が仕事を終えた後の飲むビールと位置付けし「It's Miller Time」とう広告キャンペーンを打っていました。最近のヒット商品では家庭用に普及していた魔法瓶を個人用保温水筒として発売した例があります。爆発的に売れ、ペットボトルの代わりに持ち運ぶ人が増えています。エコでもあります。これも家庭から個人へとターゲット層で差別化した例です。

通常は食後に飲んでいた消化薬を「食べる前に飲む」と差別化した胃腸薬がありますし、逆に食前に打っていたインスリンを食後に打てるようにした超速攻性のインスリンも10年ほど前に開発されました。これによって食前に思っていたほど食べられずに低血糖になることを回避できるようになりました。時間軸で差別化した例です。

競合状態が厳しい市場に参入する時に参入市場に別の名前を付けて異なるカテゴリーであるかのような印象を与える手法もあります。カルビーのフルグラはケロッグなど競合がひしめくシリアル市場でなく朝食市場の製品として参入しました。おいしさ、時短、健康をキーワードにして、シリアルと戦うのでなくパンや和食の朝食市場で戦う方を選びました。市場も大きいですしね。これは昔ケロッグが参入時に朝食市場に入ろうとして大キャンペーンを打ち失敗したことを逆手にとったような作戦でしたね。

大塚のポカリスエットは発売時に清涼飲料やスポーツ飲料でなくアルカリイオン飲料という消費者が理解できない健康飲料として世に出ました。競争を避けるために(そして売れているとは言い難いゲータレイドといっしょにされたくなかったのでしょう)既存製品とは異なることをアピールしたのです。苦戦をしたもののその後もアイソトニック飲料、イオンサプライ飲料、リフレッシュメント・ウォーター、ボディ・リクエストなどとショルダーフレーズを変えながら、最終的には清涼飲料ブランドとして確立されたポジションを占めるようになりました。

上記の例はポジショニングと言いながらセグメントやターゲットを含めた戦略となっています。50年前にコトラーがSTPという概念を発表しました。Segmentation、Targeting、Positioningの略です。どの市場で、誰に向かって、製品をどう位置付けるかというフレームは今でも通用するツールですし、ひとつひとつ別個のものとして分けるのも無理があるような気がします。


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ポジショニングとは、製品やサービスが使用者・消費者の意識の中で、競合と比較されてどのように見られているか、位置づけされているかを簡潔に述べたものです。
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ここで重要なのが、「消費者の意識の中で」と「競合と比較されて」の二点です。よくメーカーの人が「わが社の製品のポジショニングは」と語りますが、ポジショニングはメーカーが決めるのではなく、消費者が決めるのです。消費者の頭の中の競合と比べたマップ上のどこに自社製品が位置するのかなのです。ですからメーカーがポジショニングを語るのであれば、消費者調査を実施し、その結果に基づいて語らねばなりません。

ポジショニングを考えるときに必要な要素も上記に加えてあります。参考にしてください。
次に縦軸と横軸を設定し、ポジショニングマップを作ります。下記は一例です。
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健康イメージと価格を二軸としています。当然かもしれませんが健康的と思われるブランドは値段が高いのでこのような右上がりの図になります。健康イメージが高く値段が安い右下は採算ベースに乗らないでしょうが、値段が安い左上には既存ブランドがないのでチャンスがあるかもしれません。そんなバーガーは無理だと思われるかもしれませんが、敵のいないところで戦うブルーオーシャン戦略が最強のマーケティングです。かつてアメリカでマツダがRX-7を発売する前に作ったマップの話を聞いたことがあります。

ホイールスペースと価格の二軸でマップを作ったところ、大きな車ほど高価なので上記と同様の右上がりの図になりました。その図の空いたところ(小さくて値段が高い)を狙って小型でツーシーターで高性能、高めの価格の車にもチャンスがあると考え、「スモール ラグジュアリー スポーツ」と位置付けられたカテゴリーを創ったRX-7は、二台目の車、息子や娘に買い与える車としてアメリカ市場に浸透しました。そしてその成功を基に導入された日本でも熱狂的に受け入れられました。

ポジショニングマップはけっこう役に立ちます。

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製品やサービスの売り上げは顧客を獲得することから始まります。最初は新規顧客ですね。新規顧客を獲得するためには何が必要でしょうか。

まずブランド認知が必要です。認知がないということはブランド名を憶えていないということなので、最初から消費者の選択肢から外れてしまいます。ブランド認知を上げるためにはテレビなどのマス広告やWEB広告、PR、パブリシティ、店頭でのPOP、サンプリングや展示会などの販促活動などがあり、これらを商品の特性や重要販路に従って組み合わせます。

ブランド認知が得られたら、次にブランドの特徴を知ってもらうことが必要になります。
特徴が伝えられたら、次はその特徴が競合製品と比べてどこがすぐれているのかを伝えます。
同時にそのブランドを使用すると、消費者はどのような便益が得られるのかを伝えます。

これらはこの順番に必要になるのではなく同時に伝わることがほとんどです。
この3つはFABと憶えておくと忘れませんよ。
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Feature  は製品の特徴や機能でその製品が存在する理由となります。
Advantage  は同じカテゴリー内の競合製品と比べたときの優位な点です。
Benefit  は消費者がその製品を使った時に得られるメリット、利点です。

この三つが消費者に伝わると、当該製品のポジショニングが明確になります。

ちなみにポジショニングとは次のように定義されます。

「ポジショニングとは、製品やサービスが使用者・消費者の意識の中で、競合と比較されてどのようにみられているか、位置づけされているかを簡潔に述べたもの。」


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幅広くかつ短期にブランド認知を上げるためにはテレビなどの広告が有効ですが、ブランドによっては十分な予算がないなどの理由でマスメディア広告が使えないことがよくあります。しかしマス広告を使わなくても認知率を上げる方法はあります。

認知は情報と経験の二つから築かれます。この二つを最大限に利用することです。
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情報にはテレビ広告などのマスメディアが含まれますが、SNSやCGM(Consumer Generated Media)などのソーシャルメディア、自社HPや自社ECサイトなどの自社メディア、パブリシティ、IRや口コミ利用などのPRメディアを利用すれば安価にかつ信頼度の高いブランドに関するメッセージを送ることができます。ネット経由の情報はマスメディア以上に拡散スピードがありますし、双方向性もあります。また購買者や使用者からの口コミ情報は購入時によく参考にされていますし、実際に使った人の意見は貴重ですし信用もされます。

同時に店頭での情報も重要です。店頭での露出、特にパッケージは最も雄弁なセールスマンです。大量陳列や特売時にはパッケージを目立たせることを考えてください。その他にも店内のPOP、ポスターやプライスカードなどの販促物を利用しましょう。

経験から認知を改善させるためには、店頭などでの試食・試飲、できれば購入してもらって製品の味や特長、調理法などを知らしめると同時にブランド名を憶えてもらう方法があります。店頭や街頭、イベント会場などでのサンプリングやクーポン配布もブランド認知に貢献します。実際に使ってもらう経験は強い武器になるので試食や試飲だけでなくモニターとしての使用、試着、車の試乗なども有効です。

スターバックスは1986年に誕生して、今では世界中で知らない人はいないくらいのコーヒーチェーンになりました。しかし皆さんはスターバックスの広告を見たことがありますか? たぶんないと思います。なぜなら設立以来彼らは一度も広告を打ったことがないからです。広告なしでも深煎りコーヒー、バリスタがいる、シアトル生まれ、シレーンのロゴ、煙草の煙から逃れてコーヒーの香りが楽しめる、などの認知は世界中で十分に浸透しています。広告を打つことなく、PR、店頭での情報、実飲用などでブランド認知とイメージ確立に成功した典型的な例です。


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ブランド名を前面に出して販売している製品ではブランド認知は生命線と呼んでい良いくらい重要です。ブランド認知がないということは製品特徴も理解されないし、指名買いも期待できません。最初から購入の選択肢からが外れることを意味します。

特に後発商品、卸や小売りのマージンが競合より低い製品、取扱店率が低い製品はブランド知名率を上げて指名買いを狙う方法が一般的です。

ヴィックスドロップが日本で発売された時に日本初の集中TVスポットキャンペーンを打ちました。楠トシエの「クリクリ三角ちいさなドロップ」のCMソングで一気に知名を上げ、低い配荷率、薄い小売マージンにもかかわらず指名買いで一気にトップブランドに駆け上がりました。

昔担当していたコンタック600もバファリンも競合と比べてマージンが劣ります。小売店は売りたがりません。推奨販売はほぼゼロですからTV広告で知名を上げ指名買いを促進するしかなかったのです。両ブランドとも指名買い率は70%でした。

ブランドの認知があるということは消費者に親しみ、好意、安心感、確信を与えます。高いブランド認知商品は、メーカーが長期間製造・販売しているという安心感、大量の広告でサポートをしているヒット商品で、多くの人がその製品を使っているという親近感を与えるからです。認知率と売り上げには強い相関があります。現在は安価ですぐ結果の分かるネット調査がありますから定期的に認知率の調査をすると良いでしょう。
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ブランド認知率には上記の三種類があります。トップ・オブ・マインド(第一想起率)は「コーラ飲料でご存じの銘柄は何ですか」の問いに最初に答えたブランドです。二番目以降で答えられたブランドが非助成想起ブランドになります。ブランド名が出なくなった後で「ではxxxというブランドはご存じですか」と提示されたブランドを知っている場合が助成想起銘柄になります。

当然非助成想起で答えられたブランドの方が助成想起より強く、現在使用中またはこれから使いたいブランドであることが多く、助成想起で答えられたブランドは過去使っていた又は名前だけは知っているブランドであることが多いと言われています。


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