3年前に「物価の優等生 - バナナ 鶏卵 牛乳」という記事を投稿したが、この2年で状況は激変してしまった。特に鶏卵は値上がり率第1位で、2018年の卸売価格がキロ180円だったのに対し、2023年4月には350円まで上がった。トウモロコシなどの飼料の値上がりと鳥インフルエンザが影響していたのが大きな理由だが、最近は多少落ち着いて今日現在は250円まで下がってはいる。近所のスーパーの3年前と今日の価格はこんな感じだ。


卸価格が倍になるから小売価も倍になるのは仕方がない。それでも1953年の卸価格が224円だったことを考えれば鶏卵はまだ物価の優等生であることは確かだろう。ケーキ屋さんとレストランは苦労していると思うけど。
もう一人の優等生であるバナナにも値上げが。バナナは殆どが輸入なので最近の円安で仕入れ値が上がるのは仕方がない。原油高で輸送費も上昇しているし、全体の75%を占めるフィリピン産バナナがコロナ禍で国内での移動制限などの影響で供給量が下がったり、日本国内では在宅勤務や巣ごもり需要でバナナの消費が増え需給バランスが崩れたことも値段が上がった原因と言われる。昨年卸売価格は5割ほど上がったが、最近は南米からの輸入量が増えて価格に落ち着きが見られる。3年前と本日の価格は下記のとおり。


2割の値上がりは他の果物に比べると許容範囲内かもしれない。昨年6月にはフィリピン大使が「現在のままではフィリンピンのバナナ生産者にとって現実的でもフェアでもない」として全国のスーパーマーケット業界団体に値上げを申し入れるという異例の事態が起きた。毎日スーパーで果物を買うが、輸入物のグレープフルーツやキウイだけでなく国産のフルーツも大型化や高級化で値上げが目立つ。バナナの価格はこの20年ほとんど変化がなかったから大使の気持ちも分からないではない。

牛乳もこの3年で値段が上がったものの一つだ。近所のスーパーでは大手でない1リットルパックはずっと178円で売られていた(大手は200円ちょい)。しかし牛の飼料の値上がり、それもほとんどが輸入なのでさらに円安によるコスト増(2年前に比べて7割上昇)、牛舎の送風機や牛乳を保管するための電気代の値上がりなどもあり、昨年の11月に続いて今年の8月に再度の値上げに踏み切った。
11月の値上げ以降毎月消費量は5%下がっているが、再度の値上げを決定したのは多くの酪農家の生産コストが出荷価格を上回り赤字経営に陥っているためだ。それに加えコロナ禍で外食需要が低迷し乳製品の消費が落ち込んだため生産者団体は牛乳の生産を3%減産することを酪農家に求めている。このまま減産と需要減が続くと更なる値上げを余儀なくされ一層の牛乳離れが始まることが危惧される。
ちなみに今日スーパーで売られていた3年前178円だった同じ牛乳には42%アップの252円という値札が付いていた。
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