マーケティング爺のひとりごと

外資系7社でチューインガムから抗癌剤までのマーケティングを生業としていた引退老人です。使えそうなデータや分析、気になった出来事、思い出、日々思うことなどをボケ防止のため綴っています。にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ
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2024年07月

一昨日内閣府が発表した経済財政白書に年齢別に見た世帯あたりの保有金融資産というものが載っていた。世帯主の年齢別にその世帯が保有している金融資産をグラフ化したものだ。よく見るデータは20代から70代までが多く、85歳以上までカバーするものは少ない。これを紹介した日経の見出しは「ためた老後資産、85歳過ぎても減少1割、長生きで節約志向」だった。
2024-07-30
銀行や政府が発表する金融資産額は負債は勘案されていないことが多く、ほとんどが単身世帯を含んだ全世帯データで、かつ中央値ではなく富裕層含みの平均値だ。当然のことながら一部の富裕層が数字を引き上げている。しかしこのデータでは金融資産がピークの65歳でも「老後2000万円問題」をクリアしていない。昨今では物価上昇を受けて老後4000万円問題などと書き換える記事も多いし、高騰する老人ホームを利用するともっと必要となる。いつまで生きるか分からない老人は節約するしかない。

全世帯を見ても老人には参考にならないので、出典は異なるが世代別の数字を確認してみる。二人以上世帯では60歳代で1800万円、70歳代で1900万円と金融資産が増えている。他のデータでは60歳代をピークに下がっていくのだがこの金融広報中央委員会データは年齢が上がると平均資産も上がっている。世論調査とあるし中央値がきれいすぎるから多少信ぴょう性に欠けるかもしれない
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もう少し信用できる調査はないかと探したら日経CNBCのニュースにぶつかった。これも富裕層含みの数字だが二人以上の無職高齢者世帯の貯蓄額とある。家計調査だからまあ信用できる。えっ 平均で2500万もあるの!。それにここ数年微増ではあるが増え続けている。確かに子供は独立しているだろうしローンは完済だろうから理解できないわけではない。たぶん1億円以上の純金融資産を持つ148万世帯が貢献しているに違いない。そう思いたい。
2024-07-30 (3)
日経CNBCが良心的なのは富裕層含みではあるが平均値だけでなく、中央値(有職世帯も含んではいるが)の1604万円をベースに家計調査データを基に年齢層ごとの毎年の不足額を算定し、かつ2%のインフレを組み込んで1600万円であと何年生活できるかを計算していることだ。それによると月1~4万円の赤字でも47年は生きられると結論付けている。

これは85歳からの赤字額が激減することと、病気や老人ホームなどの支出は想定されていないためでもあるが、このグラフを見て健康だけが取柄の後期高齢者は少し安心したのであります。健康第一!健康第一! さ 安心して寝よう。おやすみなさい。
2024-07-30 (5) 
参考までに試算に使った年齢層別の月別収入と支出、赤字額はこんな感じになるとのこと。
金融資産の6割、消費支出の4割を占める高齢者が金を使わないと日本経済は廻りませんね。
2024-07-30 (1)


外資系企業7社で33年間過ごしたサラリーマン人生だった。いろんな面でドライだと考えられている外資でも人間関係や人との絆はちゃんと存在していたように思う。

新卒で入社したのは広告代理店。コピーライター志望で入ったが配属されたのは媒体局のコカ・コーラ専属のメディアプラニング部門だった。楽しくて働きやすい部門だった。3年後にマーケティング局に転属になり、労働組合の書記長をすることになった。会社側の代表が人事局長のI氏で実直で優しい人物で、組合側から見ると比較的楽な交渉相手だった。数年後にヘッドハンターからの電話で面接に行くとI氏がいた。当時は55歳が定年だったので定年退職後に製薬メーカー(ワーナーランバート)の人事のトップとして入社し、菓子事業部が人を探していた時に私のことを思い出したらしい。知っている人が上層部にいるのは心強い。即入社を決めた。

菓子の仕事は面白く毎日が充実していた。数年後に管理職になったがもう少し現場の仕事がしたかった。会社の医薬品部門にスミスクラインから転職した人がいて、数年後にまたスミスクラインに戻った。コンタックの担当が欠員となった時に私のことを思い出し面接に呼ばれた。簡単な宿題が出てそれを提出したら採用が決まった。ただ入社後数か月で日本の製薬会社のOTC部門を吸収合併し会社の雰囲気が悪くなったのと上司との折り合いも良くなくて退職し、元上司の口利きもあってワーナーランバートに出戻った。人材が潤沢でない外資系企業ではこうした出戻りはよくあることだ。

また菓子の仕事に戻り、カナダでの海外勤務を終えて日本に戻ったら私の後任で一時的に赴任していたアメリカ人が戻る場所がなくて居残っていた。同じポジションに二人いるのも妙だが仕事を無理に二分割するのはもっと理不尽だった。昔から知り合いのエージェントに頼んで次の仕事を見つけてもらった。ヘッドハンターに依頼したのはこの時だけだ。

紹介されたのはペプシコーラだった。ペプシマンキャンペーンの頃で業績は上向きだった。新製品開発チームや開発会議の新設、人員補強など組織の強化に取り組んだが半年後に事業はサントリーに売却移管された。マネジメントや開発、工場要員などは不要とされ生まれて初めてハローワーク通いを数か月経験した。その間ペプシ事業の売却を知ってマーケティング人材採用のため来社した関西の製薬会社の元人事部長が採用に動いてくれて調査部長の職を得て神戸に転居した。

神戸での最初の2年は快適だったが、その後新設の抗癌剤のチームを任されてからが大変だった。消費財の経験しかないマーケターがこなせる仕事ではない。毎日今日が最後の出社日になるかもと思いながら電車に乗った。そんな時東京のヘッドハンターから電話があり、消費財と医療用医薬品の両方の経験を持つマーケターを探しているが面接に来ないかとのことだった。バファリンの会社だった。

バファリンがOTCと医療用の両方を持っているとは知らなかったし、失敗だったと思った医療用医薬品への転職がこんなところで役に立つとは思わなかった。日本法人のカナダ人社長に面接されたが私がカナダで働いていたことにも興味を持ったようだった。翌月には本社の社長との面談があった。面接中に「ペプシにいたのか。本社の交渉相手は誰だった」と聞かれた。彼も以前ペプシに在籍していたとのことで結局それが決め手になったのか採用されて最後の勤務先となった。

もともと転職志向があったわけではないし英語も不得手だった。知人がエージェントに私の名前を出したこともあるが、私のことを知っている人が誘ってくれたことも何度かあった。まだ外資に行く人が多くなかった時代なので、個人的ネットワークが重要だった。転職してからかつての部下や仲間を採用することはよくあったし私も何度かしたことがある。その人の強みと弱みを知っているから強いところを活かすポジションをあてがえば失敗は少ない。自分の首がかかっているから採用にも慎重になる。日本の企業で働いたことがないから比較はできないが、組織に頼ることが少ない外資系企業の方が人と人とのつながりや絆が強いのではなかろうかと思ったことは何度もあった。昔の仲間とは今でも繋がっている。

2023年度の在京キー局の決算は全局増収だった。日テレが1.9%、フジとテレ東が2.0%、テレ朝が2.1%、TBSが2.8%成長だった。ただ経常利益はTBSとテレ東がプラスだったものの残りの3局はマイナスそれも二けたマイナスだった。テレビ広告費はネット広告に抜かれてもう何年にもなる。売りはつくったものの高コスト体質は変わらず、かつコロナ禍で動画配信利用者が急増しテレビの視聴率が下がり続け広告収入が減っているのが大きな理由だ。
2024-07-11 (1)
テレビの広告枠は肉屋で「牛肉300グラム!」とグラム単価で買うのと同じように視聴率300%でいくらと視聴率ベースの単価で売られる。視聴率が下がれば単価も下がり当然その分売り上げ金額は下がる。売る枠を増やそうにも総放送時間の18%と上限が決められている。昨年のキー局合計の広告収入は7623億円で前年比-4.7%、フジテレビなどは-8.1%だった。ゴールデンタイムのPUT(Persons Using Television 総個人視聴率)も31.1%と未曽有の低さだ。たしかに見たくなるような番組は少ない。

今のところは広告収入の減少分をTVerなどの配給収入で補っているようだが、これだっていつまで続くのか保証はない。中身のある、見ごたえのある番組を作らないと地上波の将来はないと思うのだが。局別の世帯視聴率の推移を見ると下のグラフのようになる。この3年の下降は注目に値する。全局下がっているがフジの下落がひどい。2011年の8%が2023年には半減の4%だ。過去の成功に囚われて視聴者の変化についていけていないようだ。
2024-07-11
半世紀近く前に広告代理店でテレビの仕事をしている時に在京5局は2強2弱1番外地と言われた。TBSと日テレが2強、フジとテレ朝(当時はNET)が2弱、テレ東(当時は東京12チャンネル)が番外地だ。2強には水戸黄門、8時だョ!全員集合、太陽にほえろなどのお化け番組があったが、他の3局にはなかった。フジとテレ朝がトレンディドラマや欽ちゃんで視聴率を稼ぐのはその数年後からだ。日テレはバラエティ番組で数字を稼いでいるが、TBSとフジはかつての勢いを失い、今ではかつての2弱テレ朝が世帯視聴率の三冠王となってしまった。テレ朝が上昇したのではなく他局より下降の度合いが少なかったからではあるが。フジは万年最下位のテレ東に追いつかれそうになっている。時代は変わるのだ、視聴者が変わるのだから。

食品をはじめ全てのものが値上がった2024年の上半期が終わった。日経によると6月の物価は前年比2.1%上昇だという。生鮮品を除くと2.3%の上昇だとあるが我々は生鮮品を食べて生きているのだから2.3%の方を使うべきだね。下のグラフから推測すると生鮮品を含めると上半期は2.5%は物価が上がっていると考えてよいだろう。年金も6月支給分から2.7%上昇したが、年金生活者の家計はこの半年どうだったのかと例によって家計簿を集計してみた。
2024-07-01 (1)
この半年の後期高齢者であるわが家の支出は対前年比でマイナス1.2%だった。よくやったと言うべきか。住居費と光熱費を除いた消費支出は+3.1%と増えているが、食費が-14.6%と貢献している。そんなに節約したとは思わないが前年がその前の年の+13.2%だったので前々年のレベルに戻したということか。去年サブスクしていた魚や総菜の宅配を辞めたことが大きいと思われる。便利だったが値段の割にはおいしくなかった。

上半期の-1.2%は光熱費のマイナスに負うところが大きい。5月まで光熱費補填があったため電気とガスが前年比で-17%、昨年の水回りリフォームの効果で水道代が-11%と下がった。このインパクトを除くと-1.2%は+1.3%となる。食費を除くその他の支出は前年と大差はないので光熱費の削減が家計を助けてくれた。自民党は夏場には選挙対策でまた補填をするらしいが、魂胆は気に入らないが家計的にはちょっとは救われる。

ついでに恥を忍んで書き記すと我が家の上半期のひと月当たりの税金なども含めた総支出は約35万円だった。引退後何年もかけてここまで削減してきた。老後2000万円問題が話題となった時の議論は、無職高齢者2人世帯の全国平均の消費支出は23.5万円、総支出は約27万円で年金だけでは月5.5万円不足するので30年間で2000万円が必要だというものだった。これは全国平均の数値なので大都会のマンション暮らしだと固定費は全国平均の9万では済まず、あと4万くらいは必要だ。

ゆとりのある生活をするためには36万円位が必要だとの調査もあり、この3年の物価上昇が続けば老後2000万問題は4000万問題になると最近は言われている。ゆとりのある生活をするためには我が家は年金だけでは8万円ほど不足し、個人年金分を加えてカツカツの収支である。個人年金は自分で払った原資を基にしているので貯金を食いつぶしているので同じで、かつ支払期間は10年間だ。来年は免許を返納して車を諦めれば3万ほど支出は削減できるだろう。

円安はどんどん進行しあっという間に160円台を突破した。この半年で20円安くなった。さらに進行するだろうし介入する大義名分も見つからない。輸入品はさらに値が上がりし、石油が上がるので国産品だって輸送費分はしっかり上乗せされるだろう。残された長くはない時間を節約ばかりして生きていても楽しいとは思えない。しかし変に長生きをして病気にでもなったら、もしくは自分か家族が認知症にでもなったら目も当てられない。生きづらい世の中になったものだ。でも没落しつつある国家で生きるというのはこういうことなんだろうと思う。

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