マーケティング爺のひとりごと

外資系7社でチューインガムから抗癌剤までのマーケティングを生業としていた引退老人です。使えそうなデータや分析、気になった出来事、思い出、日々思うことなどをボケ防止のため綴っています。にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ
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2025年01月

先日こんな記事が配信されていた。都心のタワマンでの宅配業者の配達・集荷業務を調査したら一棟で4時間15分もかかっていた。その中で最も時間をとられていたのはエレベーターの待ち時間と移動で合計なんと1時間27分だったという。いくら50階建てで総戸数1000戸の大タワーマンションとはいえこれはひどすぎる。

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上記は極端な例かもしれない。我が家は築30年を超えた32階建て約300戸のマンションで、入退館の管理は最近のタワマンほど厳しくはない。しかし宅配業者の滞在時間は長いようで、エントランスには複数の宅配業者の荷物台が置いてあるのを見かけるし、同業者がインターフォンの順番待ちをしている時もある。インターフォンでオートドアを解錠しても我が家に荷物が届くのは20分後のことも時々ある。時間指定をしないと再配達を避けるために朝8時台に配達があって起こされたり、不在者も多いので午前中は宅配ボックスが満杯のことも多い。

最近の高級タワマンには宅配業者に対して独自のルールを設けることがある。壁や床を傷つける恐れがるので台車の禁止、時には台車だけでなく配達用の籠やバッグの禁止、マンションによってはセキュリティ上の理由で置き配ができない、エレベーターを使う時は事前に防災センターで解錠カードを借りる、などなど。台車や籠が使えなければ手で運ばざるを得ず効率は落ちる。防災センターで申請しカードを受け取るまでに10分かかることもある。それからインターフォンですべての受取人に連絡し在宅かどうかを確認する。その後エレベーターまでのロックを解除し、エレベーターホールでエレベーターの到着を待つ。数分待つこともある。この待ち時間は配達階ごとに必要だ。住民用と貨物用エレベーターがあり、貨物用しか使えないマンションもある。超高層タワマンでは階によってエレベーターが異なり途中で乗り換えなければならないことも。エレベーターが一番の問題だ。

これらの問題を解決するためにはいくつかの方法があろう。マンションで受け取らずに駅やコンビニで受け取るルートの増設。マンションの宅配ボックス数を増やす。置き配規制の緩和。コンシェルジュが荷物を預かり住人に届ける。宅配業者はマンションに届けるまでとし、その先の館内配送は他の専用業者に任せる。再配送をなくすため全ての配送に受取指定時間帯を記入させる。既にコンシェルジュサービスや、宅配ボックスやコンビニでの受け取りにはポイントがつくなどの取り組みは始まっているがまだ十分ではない。宅配ボックスもそれほど数は増やせないしサイズの大きい荷物や冷凍品などには使えないため制約がある。

これらすべてを実現しても現状を変革するには不十分かもしれない。しかし既存マンションのエレベーター台数を増やすわけにもいかないし、高速化も限界まで来ている。私が住むマンションも今エレベーターの更新を予定しているが3基で約3億円が必要となる。エレベーターだけが理由ではないだろうが、多くの業者がタワマンは採算に合わないと言っているので、放っておくとタワマンには配達しないという業者が出るかもしれないし、割増料金の設定も十分にありうる。EC市場が25兆円を超え宅配が日常生活に必須のものとなっているので居住者にとって荷物が届かないと生活の質にも影響を及ぼす(特に外出困難な年配者に)。

マンション側ができることは宅配業者用の駐車スペースを用意し、同時にその隣接する場所に荷捌きスペースも確保する。これらを推し進めると武蔵小杉や横浜北仲などのタワマン内に設けられた敷地内物流センターに近いものになる。スペースの制約があって全てのタワマンには無理だろうが、現在のようにタワマン側が上から目線で配送業者を見て規制をするより、業者側に寄り添って対策をとらないと配送難民を生んでしまう。配達業者がインターフォンを独占しないようにセンタースタッフの携帯と各戸のインターフォンとの接続システムの確立、配送センターとスタッフの費用は管理費から捻出することになろうが利便性のためにはコスト増にも耐えねばならない。それがバベルの塔に住む住民の宿命だと諦めて。

この一か月キャベツの価格が激しく動いた。都内ほどは高くはならなかったが最近は498円から398円、そして今日は298円だった。ブロッコリーとほうれん草は398円だった。以前は野菜類の値段は248円とか138円の中間値もあったのだが、最近は100円単位で上下している気がする。しかし、どうしてみんな末尾が98円で終わるのだろうか。
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これは端数価格戦略と呼ばれる、敢えて切りの悪い価格を提示することによって大台を意識させないでお得感、値ごろ感を演出する手法だ。「大台割れ価格」と呼ばれるだけあって本来は1000円でなく998円とか980円、10万円でなく9万9800円とかで用いられてきたが、それが低価格帯にも適用されるようになった。同じ20円引きでも600円を580円に値引きするより、値引き率は低いが1000円を980円に値引いたほうが桁数が変わって心理的インパクトが大きいからだ。

昔は端数などは使わなかった。個人商店などの小売店から見れば計算して小銭でお釣りを出すのは手間だからだ。レジもなかったしね。肉屋に行けば「100匁200円」の手書きの値札があった(古っ!)。端数価格の浸透ははスーパーマーケットとキャッシュレジスターの成長とともにあったと言っても過言ではないだろう。

またこの端数価格戦略には、仮にスーパーで100グラム100円の肉と98グラム98円の肉が並んでいたら同じグラム単価でも98円の方を選んでしまう人が多いであろうという心理的マジックもある。端数効果だ。ただ8で終わるのは八が末広がりの意味を持つ日本だけのことかもしれない。アメリカなどではほとんどが9とか.99(99セント)が用いられる。
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以前電鉄系のスーパーで表示価格を98円ではなく97円にしたらどうなるかという実験をした記事を読んだことがある。たしかそこそこの効果はあったというのが結論だったが、その後広まる気配がなかったのは日本人の末広がり信仰のせいなのだろうか。

ただこの末端価格は消費税抜きの価格であることがほとんどなので、内税表示では大台を超えてしまって意味をなさない。これがスーパーなどでいまだに税抜きの本体価格を大きく表示して、税込み価格をおまけのように小さく付け加える値札に固執する背景になっている。

崎陽軒のシウマイ弁当は好きな弁当なのだけど値段が弁当の割には少し高い。街の弁当屋やコンビニ弁当と比べる気はないが、一日に2万7千も売れる日本一の弁当ならもう少しコスト削減できるのではなかろうかと考えるのは外資でコストを削れと言われ続けてきた習い性かもしれない。つい最近来月から1000円越えへ値上げとの発表があり、値上げ前に食べねばと買ってきた。
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現在は950円だが来月からは1070円になる。米がこれだけ上がっているから仕方ないかもしれないが、強気の120円の値上げ、パーセントにしたら13%アップ。1980年代に横浜に引っ越してきた時は600円だった。それから25年経っても710円だった。ハマのソウルフードだと思って毎月のように食べていた。蒸かしているからご飯が冷めてもおいしいし量もたっぷりある。2008年に値上げして780円になったが、2010年には30円値下げして750円となった。いいところがあるじゃないかと思ったが、その後は2014年に二回の値上げ、2016年と2018年にも値上げして860円となり、2022年には900円に2023年には950円と価格改定した。原材料や人件費が多少上がったのかもしれないが、2000年からのデフレが20年間続いた世の中で5回の値上げはちょっと許しがたい。努力が足りなかったんじゃないの。その間にJAS法違反もあったし。

それで過去の値上げを調べると、1954年に100円で発売してから次が18回目の値上げだ。プラス1回の値下げ。4年に一回の値上げが多いのかどうかは判断できない。ただ消費者物価指数の伸びと比較して作表してみるとこんな感じになる。
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上の黒点付きの黄色の線がシウマイ弁当の値段の移り変わりで、下の青の線が消費者物価指数。両方とも1953年をゼロの起点としている。70年代以降シウマイ弁当の価格はCPIをコンスタントに若干上回るくらいで推移していたが、乖離が目立ち始めるのは2008年以降かな。そこからは一般的な物価の値上げを下に見るように上昇している。一時は全国展開も考えた崎陽軒だったが、ヨコハマ再集中でブランド力を強化したものの、地元民と出張客だけでは更なる売り上げ拡大は困難とみて値上げに踏み切ったのだろうか。客を甘く見るとやけどをすると思うのだが。

そう思うのも2022年に頼りなさそうに見える慶応出の四代目が社長になり、就任して数か月後にシウマイ弁当からマグロの照り焼きを外し代わりに鮭の塩焼きを入れたことから始まる。その理由がコロナ禍の世界的なサプライチェーンの混乱でマグロの必要量を確保できなくなった、という信じられないものだった。近所の中央卸売市場やスーパーにはいつもと同じようにマグロは並んでいる。買い負けたなんて社長が言ってはいけない。そう思っていたら一週間後にマグロに戻した。サプライチェーンは一週間では急変したりはしないものだ。一週間後に手に入るのだったらその前の週にも手配できただろうと思う。頑張ってマグロを提供し続けるのが経営責任じゃなかったのか。パッケージまで鮭のものに変えたのに、それをまた戻すなんて節度がない。それに鮭が気の毒だ。その数日後こんどは翌月からシウマイ弁当を40円値上げして900円にするとの発表があった。とんでもないドタバタがあったのだ。

穿った見方をすればこの40円の値上げを正当化するためにマグロを出しにして原材料の高騰を訴え、一週間だけ鮭にお勤めをしていただき、やっぱり鮭では務まらないから高価なマグロにもどしますから値上げの方ををよろしくね、とあのボンクラ社長が言っているような気がした。購買者のことなんか全く考えていないみたいだ。若社長が専務時代に出たNHKの崎陽軒のドキュメンタリーでその頼りなさ、心もとなさを晒しだし「えっ!これが次期社長?崎陽軒危うし!」と思ったが、その気持ちはいまだ変わっていない。1000円という心理的な閾値を超えた今度の値上げは崎陽軒にとっては要注意ですよ。

今年は2025年。「2025年問題」の年だ。私もその一員である団塊世代全員が今年75歳以上の後期高齢者になるので、社会保障費の増大、医療や介護体制維持の困難化、労働力不足という日本経済や社会に深刻な問題を及ぼすのだと言う。今年時点の後期高齢者数は2154万人。超高齢化社会だ。その背景にあるのは少子高齢化だが、2025年に3人に1人が65歳以上に、5人に1人が後期高齢者になることは何十年も前から予測できたことで、今問題にするのは政府の無策を晒すだけだと思う。それに何か危惧することがあるたびに団塊の世代がその要因であると言うのは勘弁してもらいたい。
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18年前には「2007年問題」というのがあった。団塊世代が一斉に定年退職を迎えるので労働力不足や、蓄積された技術や経験が喪失されるのではないかとの懸念があった。しかしその前年に改正高齢者雇用安定法が施行され企業は、定年廃止か定年延長か再雇用かの選択を迫られ、多くの企業が再雇用に走ったため逆に高齢労働者数は増え、大きな問題は起きなかった。
同時に「2007年問題」にはもう一つ期待されていた面があった。団塊世代の退職金が投資市場に流れ込んで市場を活性化するのではと思われたが、退職金はほとんど貯蓄に回され投資市場にはさほど流入しなかった。意外と団塊世代はカタいのだ。

その後定年を65歳に延長する会社が増え、団塊世代が65歳で定年退職になる「2012年問題」が話題となった。この時も技能継承が問題視されたが、5年前と同様に雇用延長や再雇用によって何とか乗り切った。しかし再雇用で賃金が下がるため、エンジニアの中には報酬の高い中国、韓国、台湾などの企業に技術を伝授するために再就職した人も多かった。裏切者、という声もあった。

「2015年問題」というものも存在した。団塊世代のすべてが65歳以上となり、労働人口の減少だけでなく年金をフルに受け取れる年金給付人口の急増で年金財政が悪化するのではないかとの心配が起きた。予想されたように年金財政は圧迫され、支給年齢の引き上げや現役世代の負担増が引き起こされた。団塊世代は「最後の食い逃げ世代」と呼ばれた。

そして現在の「2025年問題」だ。確かに医療費では迷惑をかけている。後期高齢者は平均で年97万円と75歳以下の人の約4倍の医療費を使う。膨張する47兆円の医療費の4割を後期高齢者が占めるのだ、それもその多くが1割負担で。申し訳ないと思う。でも望んで長生きをしているわけではない。スパゲッティ状態になってまで長生きしたいとは思わない。わが家は夫婦二人で年間30万円の後期高齢者健保を払い、昨年の医療費は二人で4万円弱だった。多少は貢献してるんだけどね。

この先には「2040年問題」という大問題が待っている。団塊ジュニア世代が高齢者になるのだ。2040年には65歳以上の高齢者が全人口の35%を占めるようになる。世界のどの国も経験したことのない超超高齢化社会だ。生きていれば私は93歳だが、多分この世にはいない。街には高齢者があふれるだろう。車いすやシニアカーだらけになるだろう。病院や介護施設も老人で一杯でケアをする人たちも老人であろう。医療費や現役世代の負担がどうなるかなんて想像もつかない。他の国も日本に遅れて同じ状態になると思われるので、この国の対応策がよいお手本になれるといいのけど。それはひとえに日本がこの2025年問題をどう乗り切って、何を学ぶかにかかっていると思うのだが。

マンションの管理人さんがひとり辞めた。年配の方だったので不思議にも思わなかったが、管理会社は少し焦っているように見えた。大手ディベロッパーだからすぐに後任は見つかるだろうと思ったが、そうはいかないようだ。すぐ採用面接にとりかかると言っていた。

そういえばマンションの管理組合の理事をしているゴルフ仲間が、昨年1年で管理人が3人辞めてしまい、突然の退職で引継ぎが十分にできないため総会が開けないと言っていた。中小の管理会社だったが、多分口うるさいクレーマーがいたのだろう、最後の一人はノイローゼのようになって辞めたらしい。思った以上に大変な仕事なのだ。
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マンション関連では建物そのものの高齢化、住人の高齢化、理事会役員の高齢化とならんで管理会社の管理人の高齢化が問題となっている。もともとマンション管理員は年配者の転職先として人気があったが、企業の定年延長や再雇用で応募者が激減している。だから欠員が生じて募集をかけても応募者が少ない。中小の管理会社は恒常的に人員不足らしいが、大手でも人手が足りず既存マンションの欠員の補充ができていないし、新規受託の依頼があっても管理員の応募が見込めないため受託できない。かつ人員不足が管理員の人件費高騰を招き、多くの管理会社が管理委託費の値上げを要求している。値上げが認められない場合は時短など仕様変更をせざるを得ないし、組合としてもそれを受けざるを得ないことが多い。最悪の場合は「もう続けられられません」と管理会社の撤退もありうる。

管理員の仕事は高齢者に向いているように思われるが3K要素が強く、その割には求められるスキルが多く対人関係対応能力も必要だ。過激な要求をされることも多く離職率が高いことも応募の減少の理由だ。どのマンションでも見られそうだが、特に高級住宅地エリアで顕著だそうだ。

理事長を半年やっていると管理スタッフ問題だけでなく今まで見えなかったこと、気づかなかったことが沢山ある。それらを解決しようとすると理事長は管理会社寄りだ、管理会社に丸め込まれている、という老人が多い。大抵彼らは理事や理事長の経験のある引退した老人なので時間だけはあり、趣味のように注文を付けてくる。管理人室にやってきて忙しいのに一時間も話し込んだ、ということはよくある。どこにもクレーマーはいるのだが、本人はクレーマーだという意識は全くなく、マンションの役に立っていると信じ込んでいるのが一番質が悪い。過去の事例や手続きなどの細かいことには執心するが、将来を見据えた提案などはほとんどしない。「そんなに長くは生きていない」と言うのが常套句だ。

私の住むマンションも来期は大規模修繕工事やエレベーター更新を控え、おまけに管理会社からは管理委託費の値上げを要求されている。はやく新しい管理人が見つかり仕事に慣れてもらいたい。理事のなりてもなく輪番でも理由を付けて断る人ばかりだ。次の総会は荒れそうな気もするが、クレーマー対策もしながら資産価値の維持や居住性向上のための先を見据えた提案をしなければと思う。あと半年何とか乗り切ろう。

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