好奇心の強さが数少ない自分の強みだと思っていた。大学を出て就職した広告代理店で上司から「ベストセラーは目を通せ、流行っている歌は聞いておけ、ヒット商品は試してみろ、人が集まる店には顔を出せ、自分で買い物をしてモノの値段を知っておけ」と言われたことを守ってきたことが影響しているのかもしれない。今何が売れていてその理由は何なのかを情報として仕入れるのではなく、自分で調べろということだった。
だから家じゅう本やビデオだらけになったし、自分の考え方や思考方法を変えるかもしれないと思って1980年に軽乗用車が買えるくらいの金額で出始めたばかりのPC(当時はマイコンと呼んでいた)を手に入れてプログラミングを憶えたし、その数年後には個人用に売られ始めたワープロも手に入れた(これは使い物にならなかった)。映画館にも毎週のように通ったし、コンサートにも行った。代理店時代もその後のメーカーでのマーケティング部も無料で手に入るチケットが貰えたので財政的に助けられた面も多かった。
しかし歳をとるにつれて好奇心が失せてきた。コンサートに行っても感動することが少なくなった。感性が鈍磨されたのだと思う。感情移入の度合いが減ってきたのだ。老眼が進んで本を読むのが面倒になる。テレビはニュース以外は見なくなった。最近のタレント、歌手や芸人の名前はほとんど分からない。映画は定期的に見ていたが近所のシネコンがなくなってからは遠くまで見に行く気力がない。流行りの場所に行くことも激減した。
そんなことを考えていたら博報堂生活総合研究所のデータを基にした「生活寿命」の記事が目に付いた。これは歳をとると大盛を頼めなくなる(42歳)、行列してまでラーメンを食べたくなくなる(43歳)、焼肉がヘビーに感じられ食べたくなくなる(51歳)、料理を作る気力がなくなる(56歳)などの食に関連する「寿命」と同様に「消費」に関しても寿命や定年があるのではないかという発想だ。新製品や新規開店に惹かれるのは何歳くらいまでなのか。食欲とはちがって気力や好奇心は何歳くらいで失せるのだろうかと興味を持った。

新製品に興味を持つのは平均で41歳までだ。自分は菓子や飲料の新製品開発の仕事もしていたので人よりは新製品に関心を持っていると思うが、60歳で引退してからは興味は失せ気味だ。新規開店の店や商業施設に行こうと思わなくなるのは52歳。これも当たっている。今住んでいるところは徒歩圏内にショッピングモールがいくつかあるが最近はご無沙汰だ。歩いて5分の場所に最近イケアがオープンしたが訪れたのは開店後ひと月後でそれも買い物のついでに寄っただけだ。かつては良く買い物に行っていたアウトレットモールが数年前にリニューアルオープンしたが出かけたのは2か月前だった。腰が重くなっている。これは同調査で示されているモール寿命(55歳)や人ごみ寿命(49歳)も同様で、体力、気力、忍耐力、好奇心が落ちている証拠だろう。
長く生きていると耐久消費財も新たに買うことが少なくなり、保守的にもなるので消費財も今まで使っていたものと異なるものに興味を持たなくなるという一面もある。子供が同居している頃は子供と一緒に買い物や飲食をすることが多かったが、彼らが独立して家を出るとそうした機会も減る。ともに体力気力が衰えた老夫婦は限られた生活空間で新鮮味に欠ける消費生活をすることになる。でもそれらは長い間の取捨選択で残ったものばかりなのだから、それでも良いのではないかとは思う。
だから家じゅう本やビデオだらけになったし、自分の考え方や思考方法を変えるかもしれないと思って1980年に軽乗用車が買えるくらいの金額で出始めたばかりのPC(当時はマイコンと呼んでいた)を手に入れてプログラミングを憶えたし、その数年後には個人用に売られ始めたワープロも手に入れた(これは使い物にならなかった)。映画館にも毎週のように通ったし、コンサートにも行った。代理店時代もその後のメーカーでのマーケティング部も無料で手に入るチケットが貰えたので財政的に助けられた面も多かった。
しかし歳をとるにつれて好奇心が失せてきた。コンサートに行っても感動することが少なくなった。感性が鈍磨されたのだと思う。感情移入の度合いが減ってきたのだ。老眼が進んで本を読むのが面倒になる。テレビはニュース以外は見なくなった。最近のタレント、歌手や芸人の名前はほとんど分からない。映画は定期的に見ていたが近所のシネコンがなくなってからは遠くまで見に行く気力がない。流行りの場所に行くことも激減した。
そんなことを考えていたら博報堂生活総合研究所のデータを基にした「生活寿命」の記事が目に付いた。これは歳をとると大盛を頼めなくなる(42歳)、行列してまでラーメンを食べたくなくなる(43歳)、焼肉がヘビーに感じられ食べたくなくなる(51歳)、料理を作る気力がなくなる(56歳)などの食に関連する「寿命」と同様に「消費」に関しても寿命や定年があるのではないかという発想だ。新製品や新規開店に惹かれるのは何歳くらいまでなのか。食欲とはちがって気力や好奇心は何歳くらいで失せるのだろうかと興味を持った。

新製品に興味を持つのは平均で41歳までだ。自分は菓子や飲料の新製品開発の仕事もしていたので人よりは新製品に関心を持っていると思うが、60歳で引退してからは興味は失せ気味だ。新規開店の店や商業施設に行こうと思わなくなるのは52歳。これも当たっている。今住んでいるところは徒歩圏内にショッピングモールがいくつかあるが最近はご無沙汰だ。歩いて5分の場所に最近イケアがオープンしたが訪れたのは開店後ひと月後でそれも買い物のついでに寄っただけだ。かつては良く買い物に行っていたアウトレットモールが数年前にリニューアルオープンしたが出かけたのは2か月前だった。腰が重くなっている。これは同調査で示されているモール寿命(55歳)や人ごみ寿命(49歳)も同様で、体力、気力、忍耐力、好奇心が落ちている証拠だろう。
長く生きていると耐久消費財も新たに買うことが少なくなり、保守的にもなるので消費財も今まで使っていたものと異なるものに興味を持たなくなるという一面もある。子供が同居している頃は子供と一緒に買い物や飲食をすることが多かったが、彼らが独立して家を出るとそうした機会も減る。ともに体力気力が衰えた老夫婦は限られた生活空間で新鮮味に欠ける消費生活をすることになる。でもそれらは長い間の取捨選択で残ったものばかりなのだから、それでも良いのではないかとは思う。






