子供のころから広告が好きだった(34)

東芝がCO2削減のために白熱電球の製造を終了してから10年以上が経つ。電球は会社発祥事業の一つであり120年間作り続けてきた看板製品だった。わが家もほとんど使わないふたつのダウンライト以外は全部LED電球に変わった。電気代は激減したが時々あの温かみのある光りが懐かしくなることがある。

子供のころ我が家の電球は東芝製だった。乳白色電球と透明電球が混在していた。蛍光灯などというものは高価でまだ一般的ではなかった。ただ当時の電球はよく切れて、そのたびに電気屋に買いに行かされた。あの頃の電気屋はメーカーによって系列化され、ナショナル、東芝、日立、サンヨーなどそのメーカーの製品しか置いてなかった。60Wの電球は65円か70円だった。
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東芝は電球では我が国最古参で市場のリーダーでもあった。ちなみに蛍光灯も東芝が日本で最初に開発し発売した。家電製品ではナショナル、日立と並ぶ大手で大広告主でもあり、当時単独提供していた東芝日曜劇場(TBS)や東芝土曜劇場(CX)をはじめ数多くの提供番組を持っていた。それらの番組の冒頭にいつも流れるCMソングがあった。

街のランプがお花になった マツダランプだ明るく咲いた
とんとん東芝遠太鼓 たのしいお祭りもう近い

藤山一郎が朗々と歌う「マツダランプの唄」で当時のCMソングとは少し異なるトーンだった。私もこの広告は憶えていたが、なぜ東芝なのにマツダランプなのだろうと思っていた。後年マツダは二神教で知られるゾロアスター教の光の神であるマツダから来ていると知った。商標そのものは米国のGEが持っていて提携企業にも使用を許可していたとのことだ。そういえば東芝の電気店にはこんな看板がかかっていた。
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そんな名門であった東芝も業績の悪化や不祥事が重なり、分社化を進めると同時にテレビはハイセンスに、洗濯機などの白物家電は美的集団に委譲されるなどして、2023年には上場停止にまで追い込まれてしまった。わが家にある東芝製品はテレビのレグザとLED電球だけになってしまったが、さっき調べたらどちらもMade in Chinaとあった。


参考までに「マツダランプの唄」は下記で聞けます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZsxfP8GmaXE