生まれてからの20年を名古屋で過ごした。当時はB級グルメや名古屋めしなどという言葉もなかった。名古屋にはほかの地域に誇れるようなおいしいものはないと思っていた。名物と呼べそうなものは名古屋コーチン、きしめん、味噌煮込みくらいだったかもしれない。

「名古屋めし」でググると、ひつまぶし、味噌煮込みうどん、きしめん、味噌カツ、手羽先、台湾ラーメン、あんかけスパゲッティ、天むす、味噌おでん、小倉トーストなどが現れる。この中で名古屋在住時代に食べたことがあるのは味噌煮込みうどん、きしめんと味噌おでんの三つだけであとは見たことすらなかった。(写真は住よしのきしめん)
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調べてみたらひつまぶしは昔から賄い飯として存在していたらしいが登録商標化されたのは1987年とある。つい最近だ。矢場とんで有名になった味噌カツも起源は他店の65年説と67年説がありそんな昔ではない。手羽先だって1960年の誕生で「世界の山ちゃん」は1985年の設立だから私はもう上京していた。台湾ラーメンなどは聞いたこともなかった(台湾には存在しないらしい)。売られ始めたのが71年で80年代中ごろからブームになったらしい。
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あんかけスパゲッティも同様で60年代に生まれたが、人気になったのは2000年過ぎのことだとのこと。知らなくて当然かもしれない。天むすも50年代に天婦羅店の賄い飯として生まれ59年に天むす専門店となり65年に商標登録されたが、その店は名古屋ではなく三重県の津にある。その後にのれん分けした店のほうが有名になってしまったようだ。小倉トーストは古くから名古屋の喫茶店で提供されていたようだが私が学生時代に行った喫茶店のモーニングには入っていなかった。

結局それらの名古屋めしのほとんどは東京や横浜で食べることになった。味噌カツは名古屋からの新幹線内と横浜そごうのレストラン街で、手羽先は自由が丘で、天むすは東急百貨店の地下売店で、小倉トーストは名古屋出張の時コメダ珈琲店でという体たらくだ。ひつまぶし、台湾ラーメン、あんかけスパゲッティはいまだに未経験。うなぎの名店いば昇には子供のころ父親に連れて行ってもらったし、サラリーマン時代にも行ったことがあるがメニューにひつまぶしがあった記憶がない。

どうも名古屋めしは正統とは呼びがたいアイデア料理が多く、味も濃い目のものが多い。名古屋人が八丁味噌やたまり醤油のような濃い味になれているせいもあるのだろう。ほとんどの名古屋めしが50年前後の歴史しかなく(名古屋を離れて50年以上たった自分が知らなくてもおかしくないはずだ)名古屋発祥でないものもあることを考えると、名古屋コーチンや八丁味噌以外に知られた食材もなく、名物食に乏しい名古屋がB級グルメブームに乗っかってご当地グルメとして売り出したのが名古屋めしの起源ではないだろうか。



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