なぜクロレッツは14粒なのか。
糖衣に決めたあとは粒のサイズを決定しなければいけません。とりあえず参考にしたチクレット(1箱12粒入り)は長辺18ミリ、短辺13ミリ、厚さが7ミリ弱でした。これを12粒縦に並べてモックアップを作りました。なんだか美しくない。それに店頭で隣に並ぶであろうグリーンと比べるとあまりにボリューム感がない。ロゴが載るパッケージ前面は幅19ミリでグリーンの21ミリと比べると貧弱すぎる。少なくともパッケージ幅を同等にするためには粒の長辺を20ミリに広げる必要がありました。
次に短辺を決めるのですが、長辺を20ミリに固定し6種類の短辺でモックアップを作り直し、最終的に12ミリに決めました。長辺をたった2ミリ大きくするだけでパッケージの印象はガラッと変わりました。これなら戦えるかもしれない。後で考えるとこの粒のサイズはほぼ黄金分割でした。落ち着きが良いはずです。(が、この長方形は工場サイドから見ると糖衣コーティング工程で割れ欠けがでやすいのでロスが多いと言われました。マルカワの10円ガムのような球状が最も糖衣コーティングしやすいのです。)
しかし主要な販売チャネルとなるであろう鉄道売店での陳列を想定し縦に並べてグリーンの横に置くと、前面は同じサイズになったものの側面が薄くなり高さ8.4センチとグリーンより1センチ背が高くても弱々しく見えました。相手は当時7枚入り60円で売られており、こちらは100円の価格を想定していました。67%のプレミアム・プライスを正当化するには厳しいボリュームです。残された手は粒数を増やすことだけでした。
こうして14粒に決め新製品会議に諮ることになりました。味も消費者テストの結果も問題なかったのですが製造原価が高すぎると社長が言い出しました。糖衣故の製造効率の悪さ、包装機の償却費、アルミ使用などによる包装コスト増加のため当時の自社製品の平均原価率より10%、最も原価の高かったメントスより数%、原価率優等生のトライデントより20%近く高かったと記憶しています。社長の言い分は、クロレッツはまず広告でコンセプトを売り込まねばならず、十分な広告費を捻出するためには原価率を事業部平均くらいに収めなければならないというものでした。
これ以上下げることは現状では困難だと説明すると、14粒でなく12粒にしたらどうかと提案がありました。12粒では店頭でのプレゼンスが悪くなること、グリーンとの価格差を考えるとこれ以上小さくするとセールスが見込めないと答えると、では一粒減らそう、一粒なら大きさにも影響しないだろうと譲りません。苦し紛れに13粒では縁起が悪い(これは結構外人には効きます)、それに男性は一度に二粒噛むので偶数にしたい、14粒であれば7回噛めてグリーンの7枚に対抗できるなどと思いつきを述べてやっとのことで承認を取ることができました。
クロレッツ発売後に競合社がほぼ同じ粒サイズ、同じ14粒の個包装でのスティック包装で商品を出したときに、我々も真似されるようになったんだ(特にリーディングカンパニーから)と皆で喜んだことを憶えています。
(下のパッケージは新発売時のものです)
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