その頃は小さなマーケティング組織でマーケティング・ディレクターの下にプロマネは私を入れて4人だった。私以外の3人は全員アメリカの大学を卒業していて、かつ2人はMBAホルダーだった。後で気付くのだが彼らは明確なキャリアパスを持っているようだった。当時でも私費で留学すれば1000万円はかかったはずだ。帰国後にその投資を回収すべく給料の高い外資のマーケティングに職を得て上位のポジションに上がることを考えるのは当然だ。そのために転職を繰り返すこともいとわない。単純に仕事が面白そうだからと考えていた私とは将来設計が違った。
一般的にマーケティング職、特にブランド担当の職位は下から順番にあげると次のようになる。
アシスタント・プロダクトマネジャー
プロダクトマネジャー
シニア・プロダクトマネジャー
カテゴリー・マネジャー
マーケティング・ディレクター
事業部長
ゼネラル・マネジャー

最初のアシスタント・PMはジュニア・PMと呼ぶ会社もある。私がいた会社はプロダクト・スーパーバイザーと呼んでいた。若い新人や営業から異動してきた社員は大抵ここから始める。小さなブランドを担当するか大ブランドのプロマネの補助をしながら経験を積んでPMになる。
MBA保有者はプロダクトマネジャーから始めることが多い。ケーススタディを数多くこなし知識と疑似体験が評価されるからだ。アメリカなどでは大学を出てアシスタントPMを経験してから大学院に行きMBAをとってプロマネとして働き始めるマーケターが多い。出身校によって待遇が変わることが多く、私がいた会社のひとつではMBAのトップ10校出身者は1000万、それ以外は800万と初任給に差をつけていた。
その上にはシニア・プロダクトマネジャー職を置く会社もあるが、多くの会社ではカテゴリー・マネジャーという商品群を束ねるポジションがある。その下に数人のプロダクトマネジャーが属する。
そして数人のカテゴリー・マネジャーを統括するのがマーケティング・ディレクターで日本語ではマーケティング部長と訳されることが多い。カテゴリー・マネジャーだけでなく調査部門や、新製品担当グループがある場合はそれらのグループもマーケティング・ディレクター傘下となることがほとんどだ。
その上には事業部長が位置し、マーケティングだけでなく営業部門、製造、品質管理、お客様相談室なども管轄範囲となる。取締役又は執行役員であることが多い。
そして最上位にはゼネラルマネージャー。CEOとか代表取締役社長のタイトルの会社も多い。マーケティング部門からだけ昇格するわけではないが、外資系ではマーケ出身者の比率が高い。いま思いつくくだけでもネスレ日本の高岡浩三氏、コカ・コーラと資生堂で社長だった魚谷正彦氏、ユニバーサルスタジオから刀の森岡毅氏、リーバイスとトリンプで社長を務めた土居健人氏などがいる。高岡氏はネスレ一筋だったが、他の3人は数社の転職を経て上まで上り詰めた。外資系では転職派が主流だが、どちらが良いのか今の私には分からない。





















































































