多くの会社にマーケティング部門があり、プロダクトマネジャー制を採用している会社が多く存在します。1931年にP&G社のMcElroyが書いた800語のBrand Manに端を発して始まった一人のマネジャーが製品の開発から販売までを担当するシステムは、効率化と業績向上を求める企業に受け入れられ、瞬く間に全米に、そして世界に広まりました。
thum
それまで独立した各部門が実行していた一連の仕事を一人のプロマネで可能にしたのには次のような背景がありました。

1. 製品やサービスは消費者のニーズに合わせるもので、消費者を製品に合わせるのではないというマーケティング概念が組織中に浸透した。
2. 技術の革新が類似した商品を誕生させ、対競合製品や自社内での他製品との差別化の重要性、ブランディングの必要性が増大した。
3. マスメディアとセルフサービス業態であるスーパーマーケットチェーンの隆盛により、配荷や広告など一人のプロマネで実行管理できる領域が広がった。
4. 企業が複雑かつ巨大化し、トップマネジメントが個々の製品や市場を把握することが困難となり、プロマネへの権限の委譲が必要となった。
1015376_525630260837131_1270227537_o
当然のことながらプロマネ制には利点もあれば欠点もあります。利点としては、

1. 担当製品の集中管理が可能となり、問題の早期発見や機会損失の回避が可能となる。
2. トップマネジメントの決断やプライオリティ付けを容易にする。
3. 社内の全部門と係るため将来の上級幹部となるための絶好のトレーニングとなる。

逆に欠点としては、

1. 担当製品にしか関心を持たず、全社的な視野を欠く恐れがある。
2. 他部門に対して指示的になったり、優越感を持つことがある。
3. 年齢が若く実務経験も浅いことが多く、サポート部門が抱える問題に無頓着になりやすい。

アメリカではプロマネはMBAを取る前や取ったばかりの20代の若者がほとんどです。日本でも外資ではアメリカ帰りのMBA、日本企業では営業出身者が多いようです。自分の裁量で製品の設計、販促や広告計画などを決められる一方、予定どうりに販売や利益が達成できなかった場合は社内で居心地が悪くなることもあります。外資3社でプロマネを経験した実感は「世の中で一番面白い仕事」、「責任は重く権限は少ない」です。


マーケティング・経営ランキング
ランキング参加中です。クリックしていただけると励みになります。