昨年末に従業員101人以上の企業に対し女性管理職比率の公表を義務付ける方針が発表された。厚労省のデータによると我が国の管理職(課長職以上)に占める女性比率は11.6%だとのこと。管理職8人に一人が女性だということだ。これは多いのか少ないのか。企業労働者の44.7%が女性であることは世界平均と大差はないので、フィリピンの53%、スウェーデンの43%など多くの国で女性管理職が30%を超えている事実と比べると我が国の11.6%は最低クラスである。なぜ日本はこんなに低いのか。

この11.6%は全産業の平均値で、医療や福祉や教育、金融保険業界ではそれより高い。看護師やケアマネジャー、教師や保険業には女性が多いから管理職が多くても当然だろう。逆に拠点を地方に持つことが多い製造メーカーでは一般的に女性管理職が少ない。メーカーでも資生堂やロレアルのように5割を超える比率の会社もあり、化粧品のように女性社員の多い会社が女性管理職の比率が高い(資生堂は80%、ロレアルは60%が女性社員)。でもこれは他の国に比べて低い理由の説明にはならない。
同じく厚労省のデータを見ると課長以上の管理職がいる企業は2023年時点で54.2%で(赤の点線)ほぼ横ばいで推移している。言い換えると約46%の会社には課長以上の女性はいないということだ。これが日本の女性管理職比率を押し下げている要因だろう。

ではなぜ半数近くの会社には女性管理職がいないのか。パーソル総合研究所の調査データによると女性の活躍推進を阻害している課題として①女性の昇進意欲がない②十分な経験を持った女性が不足している③登用要件を満たせる女性が少ない④優秀な女性が十分に採用できない⑤企業全体の風土が男性中心になっているが挙げられている。冗談ではない。800人の回答者は経営層と人事担当層が各400とあるが、彼らは自分たちの責任を全く感じていない。明記されてはいなかったが多分800人のほとんどは男性だと思われる。五つの理由はすべて会社の責任であり女性社員の責任ではない。

優秀な女性を採用できないから才能に相応しい経験を十分に積ませる機会が少なくなるし、登用要件を満たせる人材が生まれにくい。男性中心の会社だから「ガラスの天井」が意識され女性の昇進意欲が上がらない。これらは会社の組織として解決すべき大問題である。経営層や人事部がこんなことにも気が付かずに女性社員のキャリアを考えているとしたらそんな会社に未来はない。世の中には男性社員と女性社員しかいないのだ。
私が新卒で入社した会社の配属先の部長は女性だった。14人の部で14の机が長い島を作っていた。一番向こうに手動のタイプライターを叩いている中年の女性がいた。どこの会社にもこういう定年間際の女性がいるんだな、と思っていたら直属上司から「あそこにいるのが部長だ」と言われてびっくりした。(今思うと彼女はまだ30代だった。大人に見えた)。役員の秘書として採用され仕事を憶えていくうちに、上司が長期出張で不在中でも業務を滞らせることなく処理するようになり、秘書ではもったいないと会社の花形部門の長に選ばれたらしい。
父親が商船会社勤務で世界中を転々とし確か大学も正式には卒業はしていないと聞いた。判断力と決断力に優れ、人の長所を伸ばすことに長けていた。新入社員の自分が電話で得意先の依頼に困惑していると、「その依頼断りなさい。何か言ってきたら部長の承認を貰っていますと伝えなさい」とすぐアドバイスが飛んでくる。毎晩遅くまで全員が働く部署だったが、みんな自分たちがこの会社を廻しているという気概で働いていた。そういうふうに思わせる雰囲気を作り出すのも彼女の才能の一つだった。時々は彼女も含めた残業後の飲み会もあった。転職を繰り返し何人もの上司に出会ったが、最上のボスだったし自分の管理職像のロールモデルになった人だった。
だから私はその後の会社勤務でも男だからとか、女だからという発想はしないようになった。人はみな強みと弱みを持っている。それを見極め強いところをさらに強化するような業務や仕事のしかたをさせることが良い上司の条件だと思う。弱点を矯正するのは時間と痛みを伴う。褒めて育てる。そういうふうにしていると男とか女だからなんて気にしなくなるのだけれどね。

この11.6%は全産業の平均値で、医療や福祉や教育、金融保険業界ではそれより高い。看護師やケアマネジャー、教師や保険業には女性が多いから管理職が多くても当然だろう。逆に拠点を地方に持つことが多い製造メーカーでは一般的に女性管理職が少ない。メーカーでも資生堂やロレアルのように5割を超える比率の会社もあり、化粧品のように女性社員の多い会社が女性管理職の比率が高い(資生堂は80%、ロレアルは60%が女性社員)。でもこれは他の国に比べて低い理由の説明にはならない。
同じく厚労省のデータを見ると課長以上の管理職がいる企業は2023年時点で54.2%で(赤の点線)ほぼ横ばいで推移している。言い換えると約46%の会社には課長以上の女性はいないということだ。これが日本の女性管理職比率を押し下げている要因だろう。

ではなぜ半数近くの会社には女性管理職がいないのか。パーソル総合研究所の調査データによると女性の活躍推進を阻害している課題として①女性の昇進意欲がない②十分な経験を持った女性が不足している③登用要件を満たせる女性が少ない④優秀な女性が十分に採用できない⑤企業全体の風土が男性中心になっているが挙げられている。冗談ではない。800人の回答者は経営層と人事担当層が各400とあるが、彼らは自分たちの責任を全く感じていない。明記されてはいなかったが多分800人のほとんどは男性だと思われる。五つの理由はすべて会社の責任であり女性社員の責任ではない。

優秀な女性を採用できないから才能に相応しい経験を十分に積ませる機会が少なくなるし、登用要件を満たせる人材が生まれにくい。男性中心の会社だから「ガラスの天井」が意識され女性の昇進意欲が上がらない。これらは会社の組織として解決すべき大問題である。経営層や人事部がこんなことにも気が付かずに女性社員のキャリアを考えているとしたらそんな会社に未来はない。世の中には男性社員と女性社員しかいないのだ。
私が新卒で入社した会社の配属先の部長は女性だった。14人の部で14の机が長い島を作っていた。一番向こうに手動のタイプライターを叩いている中年の女性がいた。どこの会社にもこういう定年間際の女性がいるんだな、と思っていたら直属上司から「あそこにいるのが部長だ」と言われてびっくりした。(今思うと彼女はまだ30代だった。大人に見えた)。役員の秘書として採用され仕事を憶えていくうちに、上司が長期出張で不在中でも業務を滞らせることなく処理するようになり、秘書ではもったいないと会社の花形部門の長に選ばれたらしい。
父親が商船会社勤務で世界中を転々とし確か大学も正式には卒業はしていないと聞いた。判断力と決断力に優れ、人の長所を伸ばすことに長けていた。新入社員の自分が電話で得意先の依頼に困惑していると、「その依頼断りなさい。何か言ってきたら部長の承認を貰っていますと伝えなさい」とすぐアドバイスが飛んでくる。毎晩遅くまで全員が働く部署だったが、みんな自分たちがこの会社を廻しているという気概で働いていた。そういうふうに思わせる雰囲気を作り出すのも彼女の才能の一つだった。時々は彼女も含めた残業後の飲み会もあった。転職を繰り返し何人もの上司に出会ったが、最上のボスだったし自分の管理職像のロールモデルになった人だった。
だから私はその後の会社勤務でも男だからとか、女だからという発想はしないようになった。人はみな強みと弱みを持っている。それを見極め強いところをさらに強化するような業務や仕事のしかたをさせることが良い上司の条件だと思う。弱点を矯正するのは時間と痛みを伴う。褒めて育てる。そういうふうにしていると男とか女だからなんて気にしなくなるのだけれどね。






















